「伝わらない資料」を大改善するたった2つの技 情報の「整列」と「反復」をきちんと意識しよう

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2つのポイントを意識すると、伝わりやすい資料を作ることができます(写真:mits/PIXTA)
「人に伝わるリポートやプレゼンテーションの資料を作りたいのに、デザインがうまくいかない」。そう悩むビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。飾り罫線、色付き文字、斜体など、装飾しすぎた資料が雑然としてわかりにくいのは、もともと、人が持っている「見えないものが見える感覚」や「知的な暗黙の了解」を意識していないからです。具体的には、たった2つのことを意識するだけで、シンプルにして効果抜群なレイアウトを作ることができます。それは序列を可視化する「整列」と、次を想像させて期待を生む「反復」です。
戦略デザインコンサルタントでアートディレクターのウジトモコ氏の新著「これならわかる! 人を動かすデザイン22の法則」を基に、今回は「整列」と「反復」の使い方についてお届けします。
前回:実例で学ぶ「売り上げを伸ばす」デザインの凄技

「所属」や「力関係」を可視化する

デザインにおいて「整列させる」ことには大きな意味があります。「整列」という言葉には、堅苦しく、創造的でないイメージがあるかもしれません。しかし実際には、今までルールなく存在していたものを「整えて連携させる」ことで、「力関係を可視化する」「グループ化する」「無駄を削ぎ落とす」「大きなカテゴリで勝負する」ことが可能になります。

整えて列をなすこと。これが、整列の本来の意味です。ぐちゃぐちゃしたままよりも、きちんと並べてある方が美しい……のはもちろん、整列された状況が人の脳に送るサインは、対象の属性を暗示し、序列を作り出すことも可能なのです。

わかりやすいのは、結婚式の披露宴と二次会のパーティです。披露宴の席順は、主賓から順に、最後尾の親族へとなります。ざっくり言えば、前のほうは偉い(社会的地位が高い)人、後ろのほうの席は身内という、暗黙の了解があり、参加者からしてみれば、実際には見えていないけれども、わかりやすくラベリングされているのと同じです。

一方、立席のパーティーはいわば、非整列の状態です。ランダムに参加者は入り乱れていて、誰が新郎と知り合いで、誰が新婦の上司なのかなどは知る由もありません。

結婚式の披露宴に限らず、整列を作ることで「所属」や「力関係」を可視化し、実は、上下関係などなかったのにもかかわらず、あたかもそのような序列があるかのようにデザインすることができます。

左図は力関係を読み取れないが、右は整列によって力関係が暗示される(画像:筆者提供)
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