知識創造理論が「ビジネス最強の武器」になる訳 四半世紀で「日本企業が失ったもの」は何か

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『知識創造理論』はビジネス最強の武器になる──その理由とは(写真:adam121/PIXTA)
『現場力を鍛える』『見える化』など数多くの著作があり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏。遠藤氏が緊急出版した『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』はいまも反響が大きい。
わずか半年ほどで世界を震撼させ、経済活動や社会活動をいっきに停滞させ、世界中の人々の生活をどん底に陥れた「コロナ・ショック」。2020年は「コロナ・ショック」で経済的な側面だけでなく、日本人の価値観や働き方も大きく変わっていったが、2021年もその変化は続いている。
このたび『ワイズカンパニー』『知識創造企業 新装版』を上梓した一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏と遠藤氏が対談を行った。これからは「『知識創造理論』はビジネス最強の武器になる」という。その理由について両氏が語る。

※対談第1回第2回

SECIモデルの起点は「共同化プロセス」にある

遠藤:1995年に英語版の『知識創造企業』が世に出て、翌年出版された日本語版を当時の私もむさぼり読みました。

『知識創造企業 新装版』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

つい最近、24年ぶりに新装版が発売されました。おめでとうございます。2020年は続編の『ワイズカンパニー』の翻訳版も出ていますから、「知識創造理論」の当たり年ですね(笑)。

野中:ありがとうございます。『知識創造企業』と『ワイズカンパニー』を一緒に読むと、前著で取り上げられた日本企業と後著のそれの顔ぶれががらりと変わっています。

前著では知識創造のメカニズム、つまり「SECI(セキ)モデル」がうまく合致する新製品開発プロセスにフォーカスしているのに対し、後著は経営全般に光を当てています。

そのため、顔ぶれが違って当然といえば当然なのですが、例えば、前著で取り上げたシャープは、後著では候補にもなりませんでした。「イノベーションを生む経営の持続力」という面で、この四半世紀、「日本企業が失ったもの」は何なのか、一度考えてみたいと思っています。

遠藤:それはとても興味深いテーマですね。ぜひ考察をお願いします。「SECIモデル」の大前提は、最初の「Sの共同化(Socialization)」、つまりは「暗黙知」を互いに共有するプロセスにあると考えてよいのでしょうか?

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