百貨店の苦境で都心と地方店舗に決定的な差

三越の地方店では昨年末に異例の前年超え

三越伊勢丹HDは今期赤字見通しだが、グループの中で健闘する地方店舗がある(編集部撮影)

百貨店業界に再び暗雲が立ちこめている。新型コロナウイルスの感染拡大による2度目の緊急事態宣言が11都府県(1月14日現在)に発令されたことで、徐々に戻り始めていた客足が再び細る可能性があるからだ。

百貨店大手が1月4日に発表した2020年12月の既存店売上高(速報)では、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が前年同月比11.7%減、高島屋が同11.4%減、J. フロント リテイリングが同19.1%減、エイチ・ツー・オーリテイリングが同16.5%減だった。

おせちなどの年末年始商品や冬物衣料など利幅の厚い商品の販売が伸びる12月は例年、百貨店にとって最大の稼ぎ時だ。2割以上の減収が続いていた2020年9月までと比べ、10月以降は減少幅が縮小。コロナ感染が急拡大していた12月も高額品などが好調で何とか踏みとどまっていた。

コロナ前の水準にはほど遠い状況

とはいえ、コロナ前の売上水準には程遠い。インバウンド需要は消滅したままで、主要顧客である中高年層は人が密集する都心部への外出を自粛する傾向も強まっている。その結果、東京や大阪など大都市圏の中心部にある店舗と、大都市郊外や地方にある店舗では、売り上げの増減率にはっきりとした違いが見て取れる。

東洋経済プラスでは百貨店大手4社の店舗を「郊外型・地方店舗」「都心型店舗」に分けて、売上高の増減率ランキングを掲載しています。図表をクリックすると記事に飛びます 

最大の書き入れどきである12月の数字(百貨店大手4社)を見ると、都心型店舗では3割超の減少となった店舗もある。一方、郊外・地方店舗でプラスになったのは3つ(高松三越、岐阜高島屋、高崎高島屋)。

中でも際立つのが三越伊勢丹HD傘下の高松三越(香川県)だ。12月の売上高は前年同月比で5.7%増を記録。各社のほぼすべての店舗が前年割れする中では異例の数字だ。

その理由について、三越伊勢丹HDの広報担当者は「県内では唯一の百貨店のため競合がいない。コロナ禍によって、年末年始を自宅でぜいたくに過ごしたいニーズを捉えることができた」という。

加えて、東隣の徳島県で唯一の百貨店だったそごう徳島店(徳島市)が2020年8月に閉店。それを受けて、高松三越は同年11~12月にお歳暮の臨時売り場を徳島市内に開設し、行き場を失った徳島県内の百貨店ユーザーの一部需要を取り込むことができたことも奏功したようだ。

「東洋経済プラス」では百貨店大手4社の店舗別の売上高増減率ランキングなど、データビジュアルを中心に業界の事業環境を解説しています。
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