厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か

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厚生労働省はうまくいっていないことがハッキリしている、これまでのやり方を改めるつもりがないのでしょうか(写真:yongshan/PIXTA)

1月7日、菅義偉首相は1都3県に2回目となる緊急事態宣言を発令した。飲食店を中心とした営業規制に批判が集中している。一連の議論で抜け落ちていることがある。それはPCR検査体制の強化だ。

日本では、PCR論争が続いている。日本が世界で例を見ないレベルでPCR検査を抑制してきたことは広く知られている。

(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

PCR検査の議論は聞き飽きたと言われる方もおられることだろう。一体、どういうことだろうか。実は、第3波以降、世界ではPCR検査の見直しが進んでいる。本稿でご紹介したい。

なぜ日本でPCR検査が増えないのか

まずは日本の状況だ。なぜ、日本でPCR検査が増えないかといえば、厚生労働省で医療政策を担う医系技官と周囲の専門家たちがPCR検査を増やす必要がないと考えているからだ。この姿勢は流行当初から一貫している。

例えば、政府の新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症対策分科会のメンバーである押谷仁・東北大学大学院教授は、2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演し、「すべての感染者を見つけなければいけないというウイルスではないんですね。クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べている。

今となっては、間違っていたことは明白なのだが、この姿勢は現在も変わらない。11月25日の衆議院予算委員会で枝野幸男・立憲民主党代表から、PCR検査が増えない理由を質問された田村憲久厚生労働大臣は、「『ランセット』に掲載されている論文だが、(感染の)蓋然性が高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い」と答弁している。

さらに、そのことを支持する事実として、「アメリカは1億800万回検査しているが、毎日十数万人が感染拡大している」ことを挙げている。

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