菅首相、むなしき「1カ月で事態改善」の決意 感染拡大続けば、政権の「3月危機」に現実味

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緊急事態宣言が再発令されたが、菅政権に対する国民の不満が高まっている(写真:長田洋平/アフロ)

日本で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから、ほぼ1年が経過した1月7日。菅義偉首相が緊急事態宣言を発令した。

2020年4月以来、9カ月ぶりの再宣言で、2月7日までの1カ月間となる。

前回と異なり、飲食店を対象に午後8時までの営業時間短縮や住民の不要不急の外出自粛など、要請を軸にしたものだが、多くの専門家は「感染抑止効果は限定的」と指摘しており、早期収束の見通しはまったく立っていない。

1カ月での抑え込みは至難の業

菅首相は7日夕の記者会見で、「感染防止のため政府と国民が一丸となっての対応」を要請し、「1カ月での事態改善に全力を尽くす」と決意表明した。ただ、同日の東京の新規感染者は2447人と激増し、全国でも7500人超と過去最多を大幅に更新している。それだけに菅首相の言葉はむなしく響くばかりだった。

宣言発令を承認した政府諮問委員会の尾身茂会長も「1カ月での抑え込みは至難の業」と指摘しており、政府部内でも発令前から1カ月程度の期間延長を予測する声が相次ぐ。

首都圏だけでなく、大阪府や愛知県などの大都市も感染急拡大を受けて宣言発令を要請する方針で、前回同様に、日を置かずに全国規模での発令を余儀なくされる可能性が強まっている。

菅首相は2月下旬からのワクチン接種開始に合わせての宣言完全解除に期待をつなぐが、その時点でも感染高止まりが続いていれば、念願の夏の東京五輪・パラリンピック開催にも赤信号が灯る。その場合、国民だけでなく与党内からも菅首相の政治責任を問う声が噴き出すのは確実で、政権の「3月危機」も現実味を帯びそうだ。

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