ファーウェイが生き残りをかけ「脱スマホ」加速 車載機器やスマートテレビなど新分野に参入

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ファーウェイにとって車載機器はスマホ依存の脱却に向けた重点分野のひとつだ。写真は同社の「Hi Car」の開発者向けウェブサイトより

中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は2020年12月21日、独自開発した車載用スマートディスプレーを発表した。

同社にとって、これは個人の自動車オーナーに向けた初めての製品だ。その発売を機に、自動車メーカー純正のディスプレーやステレオを搭載していないクルマにスマートデバイスを後付けする「アフターマーケット」の市場を開拓する。

新製品はクルマの前後に取り付ける2台のカメラと、8.9インチの液晶ディスプレー型の本体で構成され、希望小売価格は1セット1699元(約2万6827円)。近距離無線通信のブルートゥースでスマートフォンと接続することにより、カーナビゲーション、ドライブレコーダー、カーオーディオ、ビデオ通話などさまざまな機能が利用できる。

このスマートディスプレーは、さまざまな車載機器とスマートフォンを連携させるファーウェイの独自規格「HiCar」に準拠した初のアフターマーケット製品でもある。

ファーウェイのコンシューマー製品部門のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏によれば、同社はHi Carに関してすでに20社以上の自動車メーカーと提携しており、2021年にはあらかじめHiCarを搭載して出荷される新車が500万台を超える見込みだという。

アメリカ政府の制裁の打撃は深刻

今回の発表会では、若者向けのスマートテレビの新製品「Sシリーズ」も公開した。パネルサイズは55インチ、65インチ、75インチの3種類あり、希望小売価格はそれぞれ3299元(約5万2091円)、4999元(約7万8934円)、6999元(約11万514円)だ。

ファーウェイはさらに、近くスマートビデオカメラ、スマートウォッチ、ワイヤレスマイクなどの新製品を続々投入すると宣言した。

同社の内情に詳しい関係者によれば、スマートフォンが主力のファーウェイのコンシューマー事業はアメリカ政府の制裁強化で深刻な打撃を受けている。そこで、車載機器やスマートテレビなどスマホ以外の新分野に積極参入し、生き残りをかけた巻き返しを目指しているという。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ現実は甘くない。ファーウェイは2019年に初のスマートテレビを発売し、「2020年の販売台数1000万台、中国での3年後の市場シェア20%」という野心的な目標を掲げていた。

しかし市場調査会社のデータによれば、2020年1~6月の半年間に販売されたファーウェイおよびサブブランドの「栄耀(Honor)」のスマートテレビは合計50万台にとどまり、中国のテレビ市場でのシェアは第8位と低迷している。

(財新記者:屈慧)
※原文の配信は2020年12月22日

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