三菱UFJ、半沢新頭取が担う「コスト改革」の重責 慣例を破り常務からいきなり頭取に就任

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13人抜きで三菱UFJ銀行の頭取に就く半沢淳一氏(写真中央)。左はMUFGの亀澤宏規社長、右は現頭取の三毛兼承氏(記者撮影)

「金融機関は100年に1度と言われるような改革を進めなければならない時期にある。それに対応するため、世代交代、若返りを一段と進める」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長(59)は、頭取交代の狙いを会見でそう語った。

MUFGは2020年12月24日、三菱UFJ銀行の頭取交代を発表した。2021年4月付けで、三毛兼承頭取(64)に代わり、半沢淳一取締役常務執行役員(55)が就任する。三毛頭取はMUFGの会長に、平野信行MUFG会長(69)は三菱UFJ銀行の特別顧問になる。

今回のトップ人事は慣例を破る格好となった。三菱UFJ銀行の頭取は皆、副頭取から昇格する形で就任してきた。常務がいきなり頭取に就くのは、いわば“飛び級”だ。現在、副頭取や専務を務めている計13人を追い抜く大抜擢ということになる。

注目すべき華々しい経歴

三毛氏はMUFG社長時代から「構造改革を成功させるには、チャレンジするカルチャーを作らなければいけない」と語ってきた。年功序列や減点主義が失敗を恐れる文化につながっているとして「若手の抜擢」を掲げ、人事制度改革に力を注いできた。今回のトップ人事もその流れをさらに進めるものだ。

頭取の交代が報じられた直後、人気ドラマの「半沢直樹」と苗字が同じということから、SNS上で話題になった。名前ばかりが注目を集める同氏だが、その華々しい経歴にも目を向けるべきだろう。

半沢氏は1988年に東京大学経済学部を卒業、三菱銀行に入行した。その後は経営企画部長などを務めてきた企画畑。持株会社の設立を主導し、「MUFGの礎を築いたとも言える」(亀澤社長)。名古屋営業本部長など営業部門での経験も持ち合わせている。

近年は崩れつつあるものの、三菱UFJのトップにはかつて「東大・京大出身、旧三菱銀行出身、企画畑」という“王道ルート”が存在していた。半沢氏はこの王道のすべてに当てはまる。

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