「電動化≠EV化」豊田社長が隠さなかった憤り

国内の新車販売に占める電動車割合は3割超

日本自動車工業会が12月17日に開いたオンライン記者懇談会で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は電動化をめぐるメディアの論調に苦言を呈した(写真は11月のトヨタ自動車の決算会見時のもの、写真:トヨタ自動車)

「ガソリン車さえなくせばいいんだ、と言った(短絡的な)報道がなされている」「自動車業界では一貫して『電動化』という用語を用いてきたが、メディア報道では『EV化』になる」「日本は電動化に遅れているとか異様な書かれ方をされているが、実際は違う」

国内自動車産業の業界団体である日本自動車工業会(自工会)が12月17日にオンライン方式で開催した記者懇談会。会長を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長は、一連の報道に関して、参加した記者たちに苦言を呈した。

10月に菅義偉首相が所信表明の中で、「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする“カーボン・ニュートラル“を実現する」と言及。12月に入ると、そのための手段として、政府が2030年半ばまでに国内新車販売の全てを電動車にする方向で検討を進めていることが明らかになった。

そうしたタイミングでの開催となった懇談会で豊田社長は、日本のエネルギー政策を含めた冷静な議論を呼びかけると同時に、「ガソリン車廃止」を書き立てるメディアに強い苛立ちを隠さなかった。

電動化は「HV」が当面の現実解

豊田社長が指摘するように、「電動化= EV(電気自動車)化」とは限らない。エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車(HV)も電動化に含まれ、CO2削減に向けた有効な手段だ。

すでに日本ではHVが広く浸透し、2019年国内で売れた乗用車の新車(全体で430万台)のうち、147万台がHVだった。これにまだ少ないながらEVやFCV(燃料電池車)を足すと、新車販売に占める電動化率は35%に上り、世界を見渡してもノルウェーに次いで高い。

アメリカのカリフォルニア州が2020年9月、ガソリン車の新車販売を2035年までに禁止し、走行中にCO2を排出しないゼロエミッション車(ZEV)への切り替えを求める知事令を出すなど、「ガソリン車禁止」の動きが世界的に加速している。が、ZEVがすぐに普及するほど、話は単純ではない。

足元を見る限り、EVはまだ世界の新車販売のわずか2%に過ぎない。株式市場で一躍脚光を浴びた新興EVメーカーのテスラにしても、その販売台数はまだ年間50万台に届くかどうかだ。充電インフラの整備や航続距離、車両価格の高さがネックとなり、EVの普及にはまだ時間がかかる。

その点、エンジンのパワーを発電にも活用するHVは充電インフラを必要とせず、EVより車両価格が安価で経済合理性も高い。こうした点から、本格的なEV時代到来までの電動車のメインストリームを担う技術と見なされている。米系コンサルティング会社のアーサー・ディ・リトル・ジャパンの予測によれば、世界新車市場に占めるHVの構成比は現在の5%から2030年には36%にまで高まる見通しだ。

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