名店も閉店・休業「スナック」何とも厳しい現状 模索続く中、ママたちが活路を見出したのは

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宮崎県出身者から親しまれた東京・新橋にあるスナック、ラフォーレは惜しまれつつ、11月末に閉店した。(写真:編集部撮影)

新橋駅から徒歩5分。宮崎県出身の首藤ヒロ子ママの人柄と癒しを求め、多くの常連客を虜にした新橋「ラフォーレ」が、37年の歴史に幕を閉じた。最終営業日となる11月末日には多くの常連客が訪れ、店の閉店を惜しんだ。それから数日後、ヒロ子ママは心労と疲れがたたり、病院で入院生活を送っている。

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「夜の街クラスター」「3密の温床」「時短要請」「自粛の対象」……。新型コロナウイルス感染が蔓延して以降、スナックに対するイメージは暗い。実際の感染リスクだけでなく、ネガティブな印象が客足を遠ざけ、いまも多くの店が厳しい状況を強いられている。

夏から秋にかけ、客足が戻りつつあったのも束の間。一部で予想されていたように、冬の寒さと乾燥による“第3波”によって客足は完全に下火になった。さらに今後は、営業自粛や時短要請により、店舗運営そのものが難しくなる。このままでは、日本からスナックという文化そのものが消えてしまいかねない。いま、現場はどのような状況なのだろうか。

宮崎出身者の「癒しの場」が

冒頭のラフォーレは、コロナによって、お店はどれほどの打撃を受けたのだろうか。今も入院中のヒロ子ママは語る。

「私が宮崎市高岡町出身ということもあり、半分以上のお客様が宮崎県出身者や宮崎から出張で来られる方々でした。うちはスナックとしては広いほうだから、個人客というより、20人~30人くらいの団体で使ってもらえるようなお店だったんです。特に3月4月の歓送迎会は年末の忘年会よりも多く、15~20名くらいの団体で20件ほどの予約をいただいていたの。それが新型コロナウイルスの感染拡大ですべてキャンセルに……」

徐々に広がっていった新型コロナウイルスの影響は、じわじわとラフォーレを苦しめていく。度重なる赤字と戻らない客足に、ヒロ子ママは苦渋の決断へと向かっていった。

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