日本生まれ「トランスフォーマー」米で開花の訳 興行収入累計5000億円、経済効果は1兆円超

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『アベンジャーズ』4作品の興行収入は、映画館のチケット売り上げだけで累計で約8500億円。稼げるコンテンツには高値がつく(写真:PaoloScarlata/iStock)
漫画やアニメなど「コンテンツ」の供給者として、世界でも存在感を見せる日本。
ハリウッドでトム・クルーズ主演のSF大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をプロデュースした福原秀己氏は、「現代はコンテンツが世界経済を動かす時代」「2030年、日本は工業製品ではなくコンテンツの輸出大国になる」と話します。
本稿では、福原氏の新著『2030「文化GDP」世界1位の日本』から一部抜粋しお届けします。

5000億円稼いだトランスフォーマー

1969年7月20日、人類は月に降り立った。アメリカが人類の偉業を世界に誇るそのとき、月の裏側では、すでに飛来していた謎の物体の秘密が明らかにされる……。

全世界で10億ドル(約1100億円)を超える興行収入を上げたハリウッド映画『トランスフォーマー』の3作目『ダークサイド・ムーン』のオープニングである。アクション・フィギュア(変形ロボット)とコンピューター・グラフィックスによる子ども向けのロボット映画だと思ったら、それは大間違いだ。深遠なテーマとディープなストーリーで魅了する極上のエンターテインメントに仕上がっている。

『トランスフォーマー』は2007年に製作され、全世界で7億ドル(約770億円)の興行収入を上げる大ヒットとなりシリーズ化される。ほぼ1年おきに続編が封切られ、3作目で興行収入は、ついに10億ドルを超える。2017年の第5作までの累計で、全世界興行収入は44億ドル(約5000億円)になる。

しかも5000億円は、映画のチケット売り上げだけの話である。アクション・フィギュアをはじめとするトランスフォーマーの関連商品は世界中にあふれ、その数字を加えれば、トータルの経済効果は優に1兆円を超えている。

しかし、このトランスフォーマーの原型は、もともと日本の玩具メーカーのタカラトミーが生み出したアクション・フィギュアである。

1984年、タカラトミーは日本での玩具販売権だけを残して、その他の権利を、すべてアメリカ玩具メーカー大手のハズブロに売却した。ハズブロは、まず、アメコミ(アメリカン・コミック)出版大手のマーベルを雇って、アニメの制作から始めた。その過程でマーベルは、トランスフォーマーの生い立ちと誕生以降の出来事を創作し、トランスフォーマーに命(ストーリー)を与えた。

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