化粧水が「肌の奥まで浸透できない」納得の理由 「美容常識」のウソを形成外科医が深く解説

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化粧水は本当に「肌の奥まで浸透」するのでしょうか?(写真:byryo/PIXTA)
「今大注目の〇〇美容法」「〇〇が新しく開発した新成分」「シミやシワに本当に効くのはこれ!」――テレビCMや美容雑誌、コスメサイトなどにはいつも新しい単語が並んでいます。しかし、新しい美容法や成分が本当に効果があるのか見抜くのは困難です。巷に流れる美容情報をどう正しく読み解くか、現役の形成外科医であり肌の構造に精通している落合博子氏が解説します。

形成外科医から見るといまの美容常識は時々疑問

形成外科医の観点から、いま世の中にあふれているさまざまな美容情報を眺めていると、「なんでそんなことをする必要があるんだろう?」「効果があるとは思えないな」と感じることが、本当にたくさんあるのです。

たとえば、とても単純な例でいうと、わたしの場合「肌をイメージしてください」といわれたら、断面図を思い浮かべます。ちょっと怖いかもしれませんが、日々皮膚を切ったり縫ったりしているので、肌の断層が浮かぶのです。

でも、みなさんはおそらく、肌の表面をイメージするのではないでしょうか。肌表面の下がどんな構造になっているのか、肌の仕組みがわかると、美容情報の見え方もガラッと変わってきます。まずは肌の仕組みを正しく知ること。

それが、美肌を手に入れるためのいちばんの近道です。正しく知れば、巷の宣伝広告に乗せられることもなくなるでしょう。あなた自身が情報のウソホントを見極められるようになります。けっしてむずかしいことではありませんので、どうぞ安心してください。

ひとつ、みなさんに質問です。化粧品のCMなどで見聞きする「肌の奥まで浸透する」の「奥」とは、いったいどこのことでしょうか? 答えは「角質層」です。「角質層まで浸透してプルプルのお肌に」などの宣伝文句もお馴染みなので、ご存じの方も多いと思います。

ただ、わたしがここで質問するポイントは、この角質層がどれくらい「奥」にあるかという点。じつは、わたしたちの肌のいちばん表面にあるのが、この角質層(=角層とも呼ばれます)です。

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