すぐ「できない」と言う子を変える声かけのコツ 五輪選手を生むメンタルコーチの指導法とは

拡大
縮小
「できない」と思い込んでいる子どもにやる気を引き出すための3つの心がけとは?(写真:じきる/PIXTA) 
「そんなこと無理に決まってる」「できるわけないじゃん」――。そんな言葉が口癖になってしまっている子どもがいます。また、注意されるとすぐに興味を失ってしまったり、失敗が怖くて挑戦できないといった子どもも少なくありません。
そんな子どもの「思い込みのフタ」をパカッと外すポジティブな言葉や問いかけを教えてくれるのが、五輪出場選手もかけこむ話題のメンタルコーチで『脳科学×心理学 うちの子のやる気スイッチを押す方法、教えてください!』の著者でもある鈴木颯人氏です。
鈴木氏の脳科学×心理学のコーチングメソッドをもとに、子どものやる気を引き出す言葉のかけ方を解説します。

思い込みを外すために、刺激を与える

自分で目標を立てたのにもかかわらず、「やっぱり無理」と途中で投げ出してしまうなど、ちょっと難しいと思うとすぐに諦めてしまうという子がいます。

そんな諦め癖がついたのは、それまでに何度も失敗を繰り返したからです。その結果、「自分は何をやってもダメなんだ」と思い込んで、やる気が失せてしまったのです。これを「学習性無力感」といいます。

魚のカマスを使った、こんな面白い実験があります。

水槽にカマスの群れを入れ、エサになる小魚を投入します。もちろんカマスは喜んで食べます。その後、水槽の中ほどに透明の板を入れて仕切ります。一方に空腹のカマスを集め、もう一方には小魚を入れます。

カマスたちは小魚に向かって突進しますが、板にぶつかって食べられません。何度も板に激突するうちに、「どうしても食べられないんだ」とカマスたちは悟り、ついには諦めます。すっかり嫌になってしまったというわけです。

そこで、板を外してやります。もう自由にエサを食べられるのですが、カマスは食いつきにはいきません。「頑張っても無駄」と思い込んでいるからです。

このように、失敗を繰り返すと無気力になり、挑戦する意欲がなくなります。

では、どうすればこのカマスの思い込みを払拭できるでしょうか。答えは簡単。何も知らない元気のいいカマスを1匹入れるだけ。そのカマスは、仕切り板があったなんて知りませんから、平気で小魚を食べにいきます。もとからいたカマスたちはそれを見て「なんだ、食べられるじゃないか」と、再び猛然と食べるようになったのです。

次ページ身近な成功モデルを示す
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT