「タクシー配車アプリ」過熱する覇権争いの行方

先攻しているDiDiに国内2社連合が反撃へ

海外勢も参入するなど、タクシー配車アプリの普及に向けた競争が激化している(記者撮影)

「アプリ経由の配車依頼が徐々に増え始め、期待していたんだが・・・・・・」――。タクシー配車アプリ事業を手がけるDiDiモビリティジャパンが2020年7月に複数地域でサービス提供を中止したのを受け、あるタクシー会社の経営者は残念がった。

DiDiジャパンは、中国の配車アプリ大手DiDi(滴滴出行)とソフトバンクの合弁会社。2018年秋に大阪でサービスを開始して以降、わずか1年半の間に事業展開地域を25都道府県に拡大し、提携車両も全国で一時は推計6万台(タクシー業界全体で20万台強)にまで増やした。

たが、2020年6月下旬に突如として、大幅なエリア縮小を発表。青森や秋田、新潟、群馬、山口、大分など10県と、北海道や沖縄などの一部市町村でのサービスを7月1日付で中止し、冒頭のタクシー会社の営業エリアもサービスが打ち切られた。

DiDiジャパンはユーザー獲得のための費用などがかさみ、2020年3月期に61億円の営業赤字を計上。さらに4月以降は新型コロナウイルスの影響でタクシーの需要自体が急速に冷え込んだため、拡大戦略の見直しを余儀なくされ、人口の多い首都圏や大都市など利用が多い地域に戦線を絞ったのだ。

アプリでタクシー呼び、決済も

スマホのアプリ画面で車を呼び、決済もできる「配車サービス」はすでに海外で広く普及している。サービスを運営するプラットフォーマーとしては、アメリカのUber Tecnologies(ウーバー・テクノロジーズ)やLyft(リフト)、中国のDiDiなどが有名だ。これらは「ライドシェア」型の配車サービスで、一般のドライバーが自家用車で目的地まで運ぶ。基本的にはタクシーより料金が安い。

一方、日本においては、一般人が他人を送迎し利益を得ることが「白タク」行為として法律で禁じられている。国内でも法規制見直しを求める声が強まったが、安全性の問題やタクシー業界からの強い反対などから、海外のようなライドシェアは依然として解禁されていない。

そのため、国内ではタクシーを大前提とした配車サービスが次々と始まった。利用者がアプリ画面を開いてリクエストすると、一番近くにいる提携車両が配車される仕組みだ。通常運賃のほか迎車料金は別途かかるが、アプリ上で決済ができ、目的地も車内で伝える必要がない。アプリが乗客をマッチングしてくれるので、提携タクシー会社にとっても車両の実車率を上げられる。

このタクシー配車アプリは、タクシー大手の日本交通傘下のジャパンタクシーが先陣を切ってサービスを開始。その後、2014年にUberジャパン、2018年にDeNA(アプリ名は「MOV」)とDiDiジャパンが相次ぎ参入した。2019年には、ソニーと都内タクシー会社5社などが出資して立ち上げた、みんなのタクシーが都内でサービス(アプリ名は「S.RIDE」)を始めた。

東洋経済プラスの短期連載「配車アプリ 熾烈なるサバイバル」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。この記事と合わせて2本の記事を配信しています。

①【総論】「タクシー配車サービス」覇権争いの行方
②【インタビュー】配車アプリ最大手トップが語るタクシー業界の未来
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