女性の引きこもり問題があまり語られない事情

「家事手伝い」が隠れみのとなり表に出にくい

近年、女性のひきこもりの存在が注目され、これまで想定されていた以上にその数は多いのではないかと言われ始めています(写真:mits/PIXTA)
「ひきこもり」といえば、若者というイメージを持っている人も多いだろう。ところが今、40~64歳の「中高年ひきこもり」が増えているという。その数、推計で61万人。「8050問題」とも言われるこの状態を放置すれば、多くの家族が孤立し、親の死後には困窮・孤独死にまで追いつめられていく……。そう警鐘を鳴らすのは、この問題の第一人者である斎藤環さんだ。斎藤さんの著書『中高年ひきこもり』より、一部を抜粋しよう。

女性のひきこもりは意外と多い?

かつては私もひきこもりは男性のほうが圧倒的になりやすく、男女比は7:3ぐらいだろうと推定していました。いまでも、多くのひきこもり調査では、そういう結果が報告されがちです。

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しかし近年、女性のひきこもりの存在が注目され、これまで想定されていた以上にその数は多いのではないかと言われ始めています。

確かに、女性のほうが男性よりも表面化しにくいことを考えると、女性の割合はもっと多いと考えるべきでしょう。

例えばニート(NEET=Not in Education, Employment or Trainingの略。15~34歳までの、家事・通学・就業をせず、職業訓練も受けていない者)の統計を見ると男女はほぼ半々ですから、ひきこもりも実際は半々に近いだろうと見ています。

女性のひきこもりが統計や実例などの形で表面化しにくいのは、「通学や就業をせずに自宅にいること」がさほど特別なケースではないからでしょう。女性の社会進出が声高に求められる時代になっても、日本社会にはいまだに女性の社会参加を強く望まない価値観が根強くあります。

そのため、例えば学校を出てから働かずに家にいても、女性は男性ほど不思議がられません。「家事手伝い」という状態が、とくにめずらしくはないものとして世間に受け入れられています。

親も、そういう娘にあまり危機感は抱かないでしょう。実際にはひきこもりの状態で、親もやや不安を感じていたとしても、自治体のアンケート調査などには「家事手伝い」と回答する家族が多いと思います。

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