文科相も推す「高専卒」メリットとデメリット

よくも悪くも学びの方向性がはっきりしている

先般、萩生田文部科学相がインタビューに対し「産業界へ高専卒給与を大卒並みにするよう呼びかけたい」と話した背景には、学歴によって給与や昇給が大きく左右される現在の日本の雇用制度があります。

現在、多くの企業では、給与の基準は

大卒
短大卒
専門学校卒
高専卒
高卒

などによって分けられています。

採用時の年齢がそれぞれ違うため初任給の金額が異なるのはともかく、その後の昇給率も違ったり、そもそも大卒でないと就けない役職があったりするため、最終的な年収や生涯年収は最終学歴で大きく変わってしまう会社が少なくありません。

SNSでは、

「大卒と高専卒では、同じレベルの仕事をしていて、同年齢でも月収が約2万円ほど違う」

「どんなに優秀な人でも、役職クラスでは高専卒は制限されている」

「現場レベルの担当者は高専卒の優秀さがわかっていても、役員に大卒が優秀という固定観念があり、採用や給与面で不利になることも」

といった書き込みも見られました。

そこで文科相は、高専卒の学生がもっと活躍できるよう、

「各地で、企業の減税などを整え。高専生が地元で働けるような魅力的な環境を整備。給与待遇も大卒かそれ以上にしてもらいたい」

と発言したというわけです。

ただ、それ以前に給与面の課題も…

確かに、高専卒の人たちの待遇改善は1日も早く行ってほしいですが、それ以前に、長年全国の初任給が上がっていないことも問題です。

2003年の大卒初任給の平均は20万1300円。

対して2020年は21万200円と、17年経っても900円しか増えていません。

しかし、まだ少数ではありますが、日本でも「能力給」「同一労働同一賃金」「マイスター制度」などを取り入れる企業も少しずつ現れています。

「マイスター制度」とは熟練の技術職を対象にしたドイツ発祥の職業能力認定制度で、日本でも、採用している企業では取得すると手当や報酬等級が上がったり、講習会で社内外に技術を教えて報酬を得たりできるそうです。

高専卒だけではなく、学歴にかかわらず、優秀な人材にはそれに応じて昇給するような制度を適切に導入すれば、採用時の学歴でその後の収入がすべて決まるような仕組みを回避できるかもしれません。

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