コンビニ「24時間営業」をやめた加盟店の本音
深夜の人手確保が困難で現場負担が重くなった

「24時間営業を見直すつもりはいっさいない」
2017年の東洋経済のインタビューでセブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長(当時)がそう断言していたように、コンビニの24時間営業は将来的にも変わることのない「常識」だと思われていた。
だが2019年2月、大阪府東大阪市のセブン加盟店が独自の判断で時短営業を行い世間の注目を集めたことで、各社ともに24時間営業体制の見直しを迫られることになった。
「夜勤に入る人がいないというのが時短営業を始めた最大の理由。バイトを募集してもいっこうに応募が来る気配はなかった。体調面で不安もあった。旦那の血圧が上がって、医者からは深夜に働かないほうがいいと言われた」
そう話すのは、地方都市で夫と一緒にミニストップ加盟店を運営する女性だ。夜勤のアルバイトが退職した穴を夫婦で埋めていく中で心身ともに限界を感じ、深夜1時から明け方5時まで閉店する時短営業を2019年から始めた。
ミニストップでは、閉店後も店員が店舗内にとどまる有人の時短営業と、完全に無人とする時短営業の2種類を選べる。この夫婦は5時に開店して朝の来店ピーク時までに商品を並べきれるか心配だったため、有人での時短営業を選んだ。
「売上高が10%落ちる」と言われたが……
「精神的に楽。やってみてよかった」。そう安堵の表情を浮かべるのは、首都圏に店舗を持つセブン加盟店オーナーだ。こちらも夜勤のアルバイトが退職したことをきっかけに、半年間の実験を経て時短営業を始めた。
閉店する時間は深夜0時から明け方5時。開店前と閉店後には1時間強をかけて、納品された商品を並べるといった開閉店作業を行う。
チェーンによって仕組みは異なるが、時短営業を行うと加盟店から本部に支払うロイヤルティー(経営指導料)が上昇したり、本部から支払われる24時間営業奨励金がなくなったりする。セブンの場合、24時間営業を行う加盟店はロイヤルティーを2%減額されている。時短営業を行うと、その減額対象から外れる。
この店舗もロイヤルティーの減額対象ではなくなったが、夜勤アルバイトの人件費が減った結果、最終的に得られる加盟店利益は以前とあまり変わらないという。時短営業に踏み切る際、セブン本部からは「売上高が10%落ちる」と言われたが、実際には約3%の減収で済んでいる。
①コンビニ経営を見限る加盟店オーナーたち
②1分でわかる!公取調査で判明した加盟店の実態
③24時間営業はもう続けられない
④「見切り販売」はなぜ浸透しないのか”
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