GoToでファンが全集中、鬼滅「リアル無限列車」 SLの人気沸騰「乗れなくても…」駅に大勢の人

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大勢のファンがカメラを向ける中、博多駅に到着した「SL鬼滅の刃」(記者撮影)

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の記録的大ヒットは現実の世界にも波及している。鬼滅の刃の「聖地」とされる場所が全国にいくつも登場した。

奈良市・柳生町にはドラマの主人公、竈門(かまど)炭治郎が修行中に斬った岩そっくりの「柳生一刀石」がある。また、愛知県犬山市の野外博物館「明治村」に展示されている日本赤十字社中央病院病棟の内部は作中に登場する「蝶屋敷」の雰囲気にぴったり。さらに現代の東京・浅草にもドラマの舞台設定となった大正時代の痕跡が見つかるかもしれない。

とりわけ、全国のファンが注目しているのが九州だ。ドラマの主人公、竈門(かまど)炭治郎の名前の由来とされる「宝満宮竈門神社」(福岡県太宰府市)と「八幡竈門神社」(大分県別府市)という2つの竈門神社が九州にある。宝満宮竈門神社は縁結びの神社として知られるが、太宰府政庁の鬼門除けという役割もあった。また、八幡竈門神社には太陽を嫌う人食い鬼が住んでおり神社の99段の石段を造ったという伝承が残されている。炭治郎が闘う鬼も人を喰い、陽の光を苦手としているという点で、ドラマの世界観とマッチしている。

さらに九州では、蒸気機関車(SL)を使った臨時列車「SL鬼滅の刃」を一目見ようと、多数のファンが駅や沿線に押し寄せている。

大正生まれの「無限列車」

劇場版に登場する「無限列車」のモデルは、SLの8620形だ。日本初の本格的量産型旅客列車用SLで、大正期に687両製造された。

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SLに詳しい鉄道写真家の南正時さんは、「アニメの時代設定が大正時代ということで、当時の最新鋭旅客機関車だった8620形が選ばれたのは納得すべきことである」としたうえで、「8620形独特のスピード感あふれたスタイルが映画の中でもリアルに描かれている」と高く評価。「この8620形はパイプなどの機器が複雑にボイラー回りに露出しており、動輪もスポーク動輪なのでアニメーションには描きにくいが、CGによって克服された感がある」とコメントする。

製造から長い年月を経て多くの8620形が廃車となったが、人吉市SL展示館に保存されていた車両をJR九州が修復し、営業運転ができる車両として復活させた。

JR九州の車両デザインを数多く手がける水戸岡鋭治氏が客車のデザインを担当し、1988年からはもっぱら「SLあそBOY」として豊肥線・熊本―宮地間を運行した。2009年からは肥薩線・熊本―人吉間を走る「SL人吉」として活用されている。今年7月の豪雨で肥薩線は橋梁の流失など甚大な被害を受け、SL人吉も運行できない状態が続いていたが、無限列車として健在ぶりをアピールすることになった。

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