富山「公営ライドシェア」実験開始で見えた課題
予約方法・料金など模索も、地元の期待は大きい

人口減少や高齢化によって、地方の公共交通機関が危機に瀕しているのは周知の事実。当然、さまざまな施策で「住民の足の確保」に取り組んでいるのですが、そんななかで今、富山県朝日町の実証実験に注目が集まっています。一体どんな仕組みなのでしょう? 同町の寺崎壮さんに話を伺いました。
地方の課題に、新しい乗合サービスで挑む
新潟県との境にある富山県朝日町。東京23区の面積の約1/3ほどに、ヒスイの取れる海岸から北アルプスの標高3000m級の山々まである町です。現在約1万1200人が美しい自然に囲まれて暮らしていますが、ご多分に漏れず、人口の減少や高齢化によって公共交通の維持管理が難しい局面に立たされています。そこで同町は2020年8月3日から「ノッカルあさひまち」という新しい公共交通の実証実験を開始しました。
その仕組みは、わかりやすくいえばUberやグラブなどに代表されるようなライドシェアに似ています。ライドシェアとは車を持っている人が移動する際に、ほかの人を乗せてあげるというサービスのこと。日本では規制があり、あまり普及していませんが、すでに欧米や中国、東南アジアなど海外では多くの人々に利用されています。
「ノッカルあさひまち」がUberやグラブと大きく異なるのは、民間企業ではなく同町が運営主体だということ。つまりちょっとした自治体が運営する乗合サービス、というわけです。サービスの開発にあたっての実証実験は、朝日町・スズキ株式会社・株式会社博報堂が参画する協議会のもと運営されています。
