ダイハツ「タント」発売1年、2位で手堅い通信簿 シニアをターゲットにした戦略は成功したか

拡大
縮小
2019年7月9日に発表された4代目「タント」。価格は124万3000円~(写真:ダイハツ)

ダイハツのスーパーハイトワゴン、「タント」が4代目へとフルモデルチェンジしたのが、2019年7月9日。発売開始から1年が過ぎて、販売状況や市場での評価が見えてきた。そこで、4代目タントの開発の狙いは何であったのか、そして、何をなしえて何ができなかったのか、販売開始から1年を経た今、考察をしてみたい。

日本の軽自動車マーケットの歴史を振り返れば、まさに栄枯盛衰そのものだ。昭和の時代に市場の主役を担ってきたのは、スズキ「アルト」やダイハツ「ミラ」といった背の低い軽自動車たちであった。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

しかし、平成に入ると背の高い「ハイトワゴン」と呼ばれるスズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」が登場し、主役の座を奪還。1990年代から2000年代にかけてのベストセラーの座は、つねにハイトワゴンのものとなった。

そんな中、2003年にダイハツは初代「タント」を世に送り出す。ハイトワゴンよりもさらに100mmほど背が高く、後席ドアにスライドドアを備えたタントは、「スーパーハイトワゴン」というジャンルを開拓。大きな存在感を放つようになる。だが、それでも2000年代はハイトワゴン優勢の時代が続いていた。

「N-BOX一強」の時代へ

そんな流れを断ち切ったのが、2011年にホンダから発売された「N-BOX」だ。発売翌年となる2012年1~12月の販売で2位に顔を出すと、2013年は通年で1位を獲得。2015年から2019年にかけて、連続で年間1位を守り続けたのだ。

そんなN-BOXの快進撃に一矢を報いることができたのは、2013年にフルモデルチェンジした先代タントで、2014年の1位をN-BOXから奪っている。

内外装を変更した「タントカスタム」も、もちろん用意される。価格は157万8500円~(写真:ダイハツ)

スズキも2013年からスーパーハイトワゴン市場に「スペーシア」を投入。これらのスーパーハイトワゴンの戦いが激しくなる陰で、ワゴンRやムーヴといったハイトワゴンは2番手、3番手という存在となっていったのだ。

2020年1~6月の販売成績を見ると、トップ3はスーパーハイトワゴンが占め、ハイトワゴンのトップは4位の日産「デイズ」、ムーヴは5位。ワゴンRは、9位にまで落ち込んでしまっている。かつてのハイトワゴン隆盛の時代を知る者としては、何とも寂しい状況だ。

次ページターゲットをシニアに拡大して首位奪還を目指す
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT