ユニコーンへ邁進!「建設DXベンチャー」の挑戦 元メルカリCFOらの新ファンドから巨額調達

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アンドパッドの稲田武夫社長(左)と、荻野泰弘CFO(写真:アンドパッド)

日本で「次のメルカリ」といえるユニコーンが生まれるか――。

クラウド型建設施工管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」を運営するアンドパッドは10月12日、総額60億円の資金調達が完了したことを発表した。累計調達額は87億円に達する見込みだ。

同社はまず、7月までにグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として約40億円を調達。そして今回はメルカリの元CFOである長澤啓氏らが9月に新設したMinerva Growth Partners(ミネルバ・グロース・パートナーズ)、アメリカのSequoia Capital(セコイア・キャピタル)などから約20億円を追加調達した。世界最大のベンチャーキャピタル(VC)といわれるセコイアから日本のベンチャーが資金調達を行うのは、極めて珍しい事例となる。

「アンドパッド」は2016年にサービスを開始。スマートフォンベースのアプリで、工程表や地図の共有、進捗状況の写真記録、職人から施工会社への報告などを一元的に行うことができる。「施工現場は今でも電話やファクスでのやり取りが多い。ここをデジタル化することで、現場作業の効率化を図れるだけでなく、工期遅れを削減し原価管理を徹底できたり、1社が年間に受注できる工事の数を増やせたりという効果も出せる」(アンドパッドの稲田武夫社長)。

既存顧客のために開発費用を投じ続ける

単なる現場管理ツールではなく、経営管理の仕組みとしての側面が評価され、「アンドパッド」の契約社数は約2000、管理側から職人までを合計した利用者数は約14万に達する。利用される現場の種類も、当初は戸建て住宅施工が中心だったが、現在はアパート、店舗、オフィスの施工や、大規模物件の修繕・メンテナンスなどへと広がる。

工事の種類が変われば求められる機能も変わるため、同社では専門領域ごとに必要な機能を絶えず増強してきた。「これまでの調達資金は、新規顧客開拓というより、基本的に既存顧客の利便性向上のためのプロダクト開発につぎ込んでいる」(稲田氏)。

加えて、建築会社の業務DX(デジタルトランスフォーメーション)化支援に向け、「アンドパッド」と併用できるサービスの案内・システム連携を進める。現在までに、電子契約サービスの「クラウドサイン」(弁護士ドットコムが提供)、顧客・営業情報管理サービスの「Salesforce Sales Cloud」(セールスフォース・ドットコムが提供)など複数社とシステム連携(予定含む)を行っている。

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