考えを文章だけで表す人は図の威力を知らない 無駄をそぎ落とし必要なことをわかりやすく

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本質的な理解が深まり、新しい着想を得るのに役立つ(写真:TommL/iStock)

例えば「今日の夕食はなんにしようか」とか、「週末はどこへ遊びに行こうか」とか、そういった日常のあれこれに関することであれば話は別かもしれない。しかし仕事の場においては、「考える」という行為をそれほど単純化させることはできないだろう。

『武器としての図で考える習慣:「抽象化思考」のレッスン』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

せっかく「考える」のであれば、相手をうならせるようなアイデアを出したり、重要な問題に関する有効な解決策を導き出したりしたいと思うもの。しかしそのためには、ただ漫然と考えるだけでは不十分なのである。すなわち「考える」だけでは足らず、「よく考える」「深く考える」ことこそが重要なのだ。

では、「よく考える」「深く考える」ためにはどうしたらいいのだろう? そのことについて考えるうえで参考にしたいのが、『武器としての図で考える習慣:「抽象化思考」のレッスン』(東洋経済新報社)である。

著者の平井孝志氏は30年以上にわたり、ビジネスの最前線において経営問題の解決策や新たなアイデアを「考え」て、「結果を出す」ことを求められてきたという。そんな経験を軸に、「頭で考えることは、ビジネスで大きな武器を手に入れることに等しい」と主張してもいる。

「頭で考える」と全体像を描ける

そのような考え方に基づく本書の重要なポイントは、「頭で考える」というテーマに特化している点だ。

「図で考える」ことが威力を発揮する理由は、ビッグ・ピクチャー(全体像)を描ける、論理展開が明確になる、構造やダイナミズムを的確に把握できる、といったところにあると思います。なぜそんなことが可能なのかと言うと、「 図で考える」ことで、モノゴトを抽象化して捉え直すことができるからです。これは「文章」にはなかなかできないことではないでしょうか。
(「はじめに」より)

確かに文章とは違って、図の場合はそこに盛り込める情報の量が限られている。そのため「情報は多いほうがいいに決まっているじゃないか」と思われるかもしれない。だが、そうではなく逆なのだ。「無駄をそぎ落とす」ことこそが重要なのである。

情報量が限られていて、図に入れるべき情報を制限するということは、必要ないものを省くということだ。するとその結果、図には「大事なもの」しか描けなくなり、結果的に必要な「論理」や「本質」がより明らかになるのである。

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