更新!「四季報」秋号に見るコロナ禍の注目企業 勝ち組から利回りのいいお得な銘柄まで網羅

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日経平均株価の動向をも大きく左右するソフトバンクグループ。9月9日には次世代技術を詰め込んだ、東京・竹芝の新社屋を報道陣に公開した(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルス禍が企業業績に与える影響の全貌がつまびらかになった――。9月18日(金)発売の『会社四季報』2020年4集秋号は、まさにそんな内容となった。

3カ月前の夏号においては、3月期決算企業の約6割が2021年3月期の業績見通しを「未定」としていた。しかし、今号では第1四半期決算(2020年4~6月期)が出そろい、予想をするうえでの手掛かりが増えたことで、予想の精度を高めることができたといえる。

結果として更新された業績見通しは、前号比ではより厳しいものとなった。前号では、全産業の今期(2020年4月期~2021年3月期、対象3360社)予想営業増益率はマイナス16.0%だったが、今号はマイナス23.1%とマイナス幅が拡大したのである(2020年7月期~2021年6月期、対象3416社)。

情報・通信、医薬品、証券業が増益予想組に

銀行、保険を除く31業種の中で、営業増益予想なのは情報・通信、医薬品、証券業のわずか3業種。黒字化となったのは石油・石炭製品のみだ。情報・通信の改善は、前期に投資事業で巨額赤字を計上した、ソフトバンクグループの復調が寄与。また、医薬品はもともと、景気変動の影響を受けにくい業態。証券は、世界的な金融緩和の後押しを受けた株価の回復局面において、投資家の取引量が増えたことが寄与した。石油・石炭製品は、出光興産やENEOSホールディングスといった大手で前期の在庫評価損が減ることが、黒字化の主因となる。

『会社四季報』(2020年4集秋号)は9月18日(金)発売。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

上場市場別に見ると、今期の業績予想がいいのは、新興市場(1部、2部、ジャスダックを除く市場)である。東証1部(1980社対象)の今期営業益予想がマイナス22.9%なのに対し、新興市場(318社対象)は同129.0%増と大きく伸びる。これは通販やネット教育、ゲームなど、巣ごもり需要をとらえた会社が新興市場に多いためだ。

こうした大勢の「苦戦組」と一部の「勝ち組」が混在する状況を反映し、記事の【見出し】ランキングにはばらつきがみられた。業績悪化を示す【反落】【続落】が前号に続き1位、2位となり、下方修正を表す【減額】が4位になった一方で、減益幅が縮まることを表す【減益幅縮小】が3位に登場。上方修正を表す【増額】も10位に食い込んできた。

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