コロナ禍を活かせない地方が抱える「3つの闇」 巨額の金を使った地方創生で地方は変わったか

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美しい熊本・上天草市の風景。地方創生で成功し、コロナ禍でも経済の回復が早い街にはどんな共通点があるのか(写真:栢 / PIXTA)

安倍晋三首相がついに辞任を表明、約7年8カ月続いた第2次安倍政権も終わりを迎えます。

そのなかで、比較的前半の時期の2014年に発表された「地方創生」は、日本社会において、地方に向けて一気に熱い目線が向けられた大きな政策でした。

地方創生を掲げても、東京にますます人が集まった

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この政策での最も大きな成果は、これまで地方の「ち」の字も言わないような、財界含めた民間企業の多くが「これからは地方創生」といったような言葉を用いるようになったことでしょう。多くの民間企業が地方との連携事業を模索するようになり、ベンチャー企業も目を向けるようになりました。これが最大の成果と言えます。

しかし、人口というテーマにおいては、当初掲げられた目標は達成できず、厳しい結果になっています。

まず、実態としては2014年以降東京都圏への人口流入は減少するどころか、むしろ増加傾向となり、毎年10万人前後の転入超過を記録するようになりました。「東京1極集中の是正」という、地方創生で常々語られた政策目標は達成されませんでした。

「2020年には東京都への人口転入転出を拮抗させる」という目標も、すでに前年の2019年には見直されています。皆の注目とは相反して、実態はますます東京への集中が加速した約6年間だった、とも言えます。

もっとも、これは安倍政権のみならず、抱え続けている構造的問題を先送りし、目先の成果を求めた予算事業ばかりを実行してきた地方にも、大きな問題があります。問題の背景には3つのポイントがあります。

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