ソフトバンク「携帯ショップ法廷闘争」の激震

2店舗の強制閉店を宣告された代理店が反旗

IFCが半年間でのD評価3回を理由に閉店を求められている2店について、ともに1回目のD評価は2019年10月だが、実はその直前の同9月はそれぞれA、Bの好評価だった。

本誌が関係者から入手したD評価を3回受けると強制閉店となることを図示した施策資料(記者撮影)

それがいきなり、両店ともにDとなり、その後にIFCが運営する3店のうちa店は11、12月も連続でD評価、b店は12月と年明けの1月にD評価がつき、あっという間に強制閉店措置の対象になったのだ。

この急転落の背景にあるのが、2019年10月に施行された改正電気通信事業法だ。

それまで、ソフトバンクの代理店では、10万円前後のスマホ端末を実質0円まで値引くなどの高額なキャッシュバックによってMNPを獲得し、成績評価を保つところもあった。それが法改正で困難になり、MNPに依存していた代理店ほど評価が悪化している。

IFCもその1社だ。自社の持ち出しによって大幅な端末値引きをしていた間は、財務的にはきつくても、店舗評価を一定以上のランクに保っていたのだ。だが、法改正によって過度な端末の値引きやキャッシュバックは禁じられた。同法が施行された2019年10月を境としてIFCの獲得点数は大幅に下がり、評価も急激にダウンしたのだ。

評価を左右したのは

この事実が明らかにするのは、IFCの評価を大きく左右していたのは、ソフトバンクが求める販売実績をあげられているかどうかだったということだ。もしIFC自体に大きな欠陥や問題があり、それが評価を決めていたのであれば9月以前の評価も低いはず。が、実際は高かった。

もしソフトバンクの評価指標が利用者のためになる店舗なのかどうかを反映するようなものであれば、IFCのように店舗評価が急降下するとは考えにくい。

IFCの弁護人の早稲田リーガルコモンズ法律事務所の川上資人弁護士は「ソフトバンクの施策は、消費者や販売代理店の利益をいっさい考慮せず、ソフトバンクの利益のみを基準に策定した極めて一方的なものだ。それを合意もなく押し付けて閉店を強いることは認められるべきではない」と言う。

ソフトバンクとIFCがその是非を争う強制閉店制度や店舗評価はソフトバンクの代理店施策の根幹を成すものだ。もし、今回の法廷闘争でIFCの言い分が通れば、ソフトバンクは施策の大幅な見直しを迫られる可能性があり、大きな波紋を生み出しかねない。差し止めの申し立てを巡る裁判所の結論は早ければ10月中に出る。

本記事を含むフルバージョンは「東洋経済プラス」に掲載。「ドコモ、auの過酷な評価」についてや、総務省の有識者会議委員を長く務める野村総合研究所パートナー・北俊一氏のインタビューも掲載しています。
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