マンション管理組合、年1万の役員報酬は妥当か 面倒さゆえに役員就任を拒む人も増えている

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管理組合の理事会役員の成り手不足が深刻になっています(写真:CORA / PIXTA)

マンションの管理組合を取り巻く環境は、近年変化している。例えば調査結果によると、マンションの理事会の役員報酬を支給しているマンションの平均額は年額で12,130円だという。そもそも役員になると報酬がもらえるのか?逆に役員を拒否すると罰金があるのか?など、さまざまな問題ついて説明したい。

都市部のマイホームとして市民権を得ているマンション。購入したら、必然的に管理組合の組合員になる。マンションの土地や建物、設備機器などは組合員全員の共有の財産なので、全員で維持管理をしていく必要があるからだ。

管理組合の実質的な活動は、理事会によって運営される。理事会は、理事長、副理事長、理事、監事などの役員で構成される。理事会の役員の選出方法は、それぞれのマンションの「管理規約」に定められている。立候補した組合員が継続して理事長を務めるといった場合もあるが、一般的には1年また2年ごとに輪番制で役員が選出されることが多い。

誰しもが役員になる機会がある

つまり、誰しもが一定の周期ごとに役員になる機会が訪れるわけだ。ちなみに、筆者の住むマンションの場合は、10年ごとに役員の任期(1年)が回ってくる。築20年経ったので、筆者も2回役員を経験した。さて、この管理組合の理事会役員の成り手不足が問題になっている。成り手不足の要因はいくつか考えられる。

まず、「マンションの維持管理への関心が低い人の増加」。月に1回程度開催される理事会の出席が「面倒だから」などと役員の就任を拒む人が増えている。

次に、「組合員の高齢化」。とくに、築年数の経ったマンションの居住者の高齢化が進んでいる。順番が回ってきても高齢で通院などもあり、実質的に理事会運営に参加するのが「難しいから」と辞退をする人が増えている。

さらに、「賃貸化による組合員の外部居住の増加」も課題になっている。役員の就任については、マンションの「管理規約」で、「組合員でかつ内部居住している人」と定めている場合が多い。内部居住していないとマンションの課題を共有することが難しく、遠方からたびたび理事会に参加することが実質的に難しい場合があるからだ。賃貸化した外部居住者が役員の輪番からはずれると、内部居住者に頻繁に役員就任が回ってくることになり、不平等だという問題も起こっている。

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