「両院議員総会で総裁選出」は筋が悪すぎる理由 自民党幹部に欠けている総裁選びの重大論点

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2018年の自民党総裁選では党員投票が行われた(写真:緒方文繁)

自民党は9月1日の総務会で、党員投票を行わず、両院議員総会で総裁を選出することを決めるようだ。7年8カ月にわたって政権を運営してきた安倍晋三首相が辞任し、久々に本格的に次期総裁を選出するのに、党員投票を行わないのはなぜなのか。

表向きは「コロナ対応のため政治空白を作らない」ということのようだ。ただ、党員投票によって、安倍政権の主流派が嫌っていた石破茂氏に勢いがつくのを止めたいのではないか、という見方もある。

しかし、国民の支持が決して高いとはいえない岸田文雄政調会長や菅義偉官房長官が総裁に選出されれば、次回の総選挙で自らの首を絞めることになりかねない。

自民党総裁の決め方はこうなっている

自民党党則は、総裁の公選について、以下のように定めている。

六条 
総裁は、別に定める総裁公選規程により公選する。
2 総裁が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の総裁を公選する。ただし、特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会においてその後任を選任することができる。
3 前項ただし書の規定により総裁を選任する際の選挙人は、両院議員及び都道府県支部連合会代表各三名によるものとする。

総裁公選規程に従えば、国会議員394票と党員票394票の合計788票で争われ、全国100万人の自民党員が投票することになる。しかし、2項ただし書きの両院議員総会でやるとなると、国会議員394票と都道府県連割当票の141票の合計535票での戦いとなる。

大きな違いは、党員の投票があるかないか、国会議員票の割合がどの程度高くなるか、だ。両院議員総会を採用すれば、都道府県連割当票が141票あるとはいっても、事実上は国会議員の意向で次期総裁を選出することになる。

長期安定政権を望む国民が多いとみられる中、総裁の選出を簡便な「ただし書き」方式で行ってしまっていいのだろうか。

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