米軍関係者「日本に何人いるか不明」という珍妙 出入国管理は緩いのに交付税の対象に含まれる

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日本とアメリカの不都合な真実に迫る(写真:ロイター/アフロ)
新型コロナウイルス感染者数の多いアメリカからの渡航を制限しているのに、アメリカの軍人・軍属は日本の検疫を受けずに入国してくる――。日米地位協定に起因する理不尽さが、コロナ禍であらためて露呈している。とくに沖縄では、アメリカ軍基地内での大量感染が確認され、この問題に焦点が当たったのに、いったい何人のアメリカ軍関係者が沖縄にいるのかも明確にはわかっていない。では、そもそも日本には何人のアメリカ軍関係者がいるのか。家族らの入国者はどのくらいいるのか。取材していくと、思わぬ実態が見えてきた。

「アメリカ側から情報の提供がない」

「2014年以降の各年の3月末時点の合衆国軍隊の構成員等の人数については、アメリカ側から、国際社会における合衆国軍隊に対する脅威により、より厳しい考慮が必要であるとして懸念が示され、情報の提供がなされていない」

上記の文言は、在日アメリカ軍の人数に関する日本政府の公式見解だ。2016年5月には当時の中谷元防衛相が衆院安全保障委員会で同趣旨の内容を答弁。今年6月には参議院の野党議員による質問主意書に対し、安倍晋三内閣は答弁書で、やはり上記の趣旨を回答した。

アメリカの軍人・軍属らの数は2013年3月31日現在の数字として、防衛省が示したものが最後だ。それによると、在日アメリカ軍の軍人・軍属とその家族の数は10万5677人、そのうち基地外居住者3万227人。それ以降は軍属の数を除き、日本政府からアメリカ軍人の人数に関する発表はない。

在日アメリカ軍専用施設の7割が集中する沖縄県基地対策課は毎年、「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)」を公表している。その最新版で「米軍人等の施設・区域内外の居住者の人数」をチェックすると、「平成26年以降、都道府県別人数は公表されていない」という注意書きがあり、2013年3月末時点を最後に数字は更新されていない。

沖縄県の「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)」。2013年3月末以降、人数の情報は更新されていない(撮影:当銘寿夫)
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