韓国が日本よりGDPの落ち込みが小さかった訳 「戦後最大の経済縮小」はどこまで深刻なのか

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「4-6月期は戦後最大の経済悪化」という報道が相次いだが、世界的に見ればどうなのだろうか(写真:ロイター/アフロ) (写真:ロイター/アフロ)

アメリカ株市場は8月も底堅く推移し、代表的な指標であるS&P500指数は8月18日にコロナショック前の2月19日の最高値を更新した。また、同国の10年物長期金利は7月に0.50%台まで低下したが、8月に反転して一時0.7%台まで上昇した。8月の底堅さを保つ株式市場と長期金利上昇は、将来的な経済復調への期待を織り込んだ株式市場を後追いして、長期金利が反転したようにも見える。

アメリカ経済は「緩やかな回復」が精一杯

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だが、最近のこの株高と金利上昇は、同国経済への期待の変化によって起きた側面は小さいと見ている。債券市場の金利上昇は、夏休み期間となり薄商いとなる中で、社債増発や国債入札をきっかけに需給が悪化するとの見方が強まったことが大きかったと見られる。

注目されている追加財政支出については共和党と民主党の協議が難航しているが、共和党の追加財政政策には第2弾の現金給付策が含まれており、また共和党、民主党双方ともに選挙が近づくにつれ妥協するインセンティブがある。そのため、金融市場のゲームチェンジャーにはならないと筆者は考えている。

また、アメリカでは、7月から南西部中心に増えていたコロナ新規感染者が減少に転じ、活動制限が長引き経済活動が再び落ち込むリスクはやや低下した。ただ、一部の景況感サーベイが示すほどのV字軌道での経済回復は難しく、公衆衛生政策に試行錯誤しながら経済活動再開とのバランスを保ち、アメリカ経済は緩やかな回復を続けるのが精一杯と見られる。

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