米大統領選後起こりうる驚愕の4つのシナリオ 「ハリス副大統領候補」で民主党は本当に優位か

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米民主党の大統領候補バイデン氏はついにカマラ・ハリス氏を副題党候補に選んだ。だがこれでトランプ大統領との差がどうなったなどと言うのは小さい話。11月3日の大統領選後には「驚愕のシナリオ」が待ち受けているかもしれない(写真:AP/アフロ)

8月11日、アメリカの民主党の大統領候補であるジョー・バイデン氏が上院議員のカマラ・ハリス氏を副大統領候補に選んだ。

本当に「バイデン大統領で決まり」なのか

実は、各種調査を総合した「大統領選挙の州別予想地図」(選定前日である10日付けに発表)では、最重要州とされるペンシルバニア州が「青色」(民主党)になり、バイデン氏の勝利が「確定」していた。

この調査が副大統領候補の人選に影響を与えたかは不明だ。だが、直前まで、ハリス氏と並ぶ有力候補とみられていたスーザン・ライス氏をバイデン氏が選ばなかったのは、「勝利確定の予想地図」とは裏腹に、個人的には、むしろ「バイデン氏本人の自信が揺らいでいる兆候」だと見ている。

まずその証拠として「米3大ネットワーク」の調査とは違った、ラスムセン・レポート社のデータによると、直近の8月5日の大統領選挙に対する調査では「バイデン氏48%、トランプ氏45%」となり、双方の差は3ポイントまで縮小していた。同データは、過去の実際の投票データに沿った調査対象からの聞き取りが売り物であり、信憑性も高い。また別のリベラルメディアの調査でも、トランプ大統領の支持率について、独立記念日にからんだラシュモア山でのスピーチを境に「底打ち」が確認されていた。

さらに、バイデン氏にとって不気味なデータが有力シンクタンクのCATO(ケイトー研究所)からも出た。2016年の大統領選挙では、「隠れトランプ支持者」の存在が、事前のデータと異なった要因だったのは周知の通り。それから1年後の2017年後の同研究所の調査では、57%のアメリカ人が「自分の政治信条を公にしない」と回答しており、さらに直近調査では、その数字は62%まで上昇していたのである。それだけ、黒人の死亡事件後の同国社会での「言論抑制」は激しいということだ。

では、リベラルメディアによる一方的な「バイデン有利」という「応援プロパガンダ」を省いた「本当の支持」はどのくらいなのか。これはバイデン氏でなくとも不安に感じるのは自然だろう。

そんな中、前回の大統領選挙でヒラリー・クリントン候補が負けた一因は、バーニー・サンダース候補の票を取り損ねたことだ。これらの状況を考慮し、バイデン氏は、選挙の実績がないライス氏を避け、サンダース候補のように、自身の政策にも近く、人種的にもバランスが取れたハリス氏を選んだのだろう。

次ページ一定の「ハリス効果」はあった。だが手放しでは喜べない?
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