ファーウェイが自動運転車の「目」の開発に着手 高性能・低コストの3次元センサーを22年に投入

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ファーウェイは得意とする情報通信技術の応用分野として自動運転車向けソリューションの研究開発にも力を入れている(写真はファーウェイのウェブサイトより)

中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は、自動運転車の「目」と呼ばれるキーデバイス「LiDAR(ライダー)」(訳注:レーザー光を照射して対象物との距離を測定する3次元センサー)の開発チームを立ち上げた。

短期間で「100レイヤー」と「200レイヤー」のLiDARを開発し、1ユニット当たりのコストを500ドル(約5万3132円)に抑える。その後さらに200ドル(約2万1253円)まで引き下げる計画だ。ファーウェイで自動運転車向けソリューションのビジネスユニットを率いる王軍氏が、8月11日に開催された自動車業界のフォーラムで明らかにした。

LiDARは自動運転車に搭載される周辺監視用センサーの一種で、高度なレベルの自動運転を実現するために不可欠なデバイスとされる。しかしアメリカのEV(電気自動車)大手、テスラの自動運転技術はあえてLiDARを採用していない。王氏によれば、その理由のひとつは価格が高すぎることだ。そこでファーウェイは、LiDARのコストをすべての自動運転車が搭載可能な水準に引き下げることを目指している。

LiDARのコスト引き下げに懐疑的見方も

一般的には、LiDARは光束の密度が高いほど周辺の状況を正確にスキャンできる。リーディング企業であるアメリカのベロダイン・ライダーは、すでに128レイヤーのLiDARを発表した。業界の専門家によれば価格は約4万~5万ドル(約425万円~531万円)で、今は主に自動運転技術のテスト車両に搭載されている。

王氏によれば、ファーウェイはやはり自動運転車向けのミリ波レーダーの開発にも着手しており、現時点のLiDAR並みの性能とより低い価格を目指している。ある関係者は財新記者の取材に、ファーウェイが2022年から2023年にかけてLiDARとミリ波レーダーを市場に投入すると明かした。

本記事は「財新」の提供記事です

だが、自動運転技術に詳しいある専門家は、ファーウェイがLiDARのコストを引き下げられるかどうかについて懐疑的だ。というのも、100レイヤーや200レイヤーの高密度LiDARは、自動運転技術が「レベル4」と呼ばれる高度な段階に至らないと必要ない。レベル4の自動運転車が今後短期間で広く普及する可能性は低く、LiDARの市場規模はすぐには大きくならないと、この専門家は予想する。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月12日

財新 Biz&Tech

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