「三菱ふそう」がBEVとFCVの2軸で勝負する訳 2039年までにCO2ニュートラルは実現できるか

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「eCanter F-Cell」のプロトタイプ(前)と量産型の「eCanter」(後)(筆者撮影)

消費財と称される乗用車に対して、商用車はわれわれの生活を支える生産財。プロフェッショナルの道具として機能する商用車の守備範囲は幅広い。物流業から建設業など一連の業種を担いつつ、バスともなれば公共交通機関や観光業にまで多岐にわたる。

2019年、全世界で48万8500台の商用車を販売したダイムラートラックAGは、乗用車で培った電動化技術を礎に、商用車の電動化についてもヨーロッパや北米、そして日本を中心に推し進める。

これまでメルセデス・ベンツのトラックとバス部門は、ドイツを代表する企業の1つであった旧ダイムラーAGの一角であったが、2019年11月1日に大がかりな組織改編により、新たにダイムラートラックAGとして組織化された。

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この組織改編は歴史的規模で行われ、一極集中のダイムラーAG体制から大きく3つに分社法人化。乗用車を中心とした「メルセデス・ベンツAG」、商用車を中心とする「ダイムラートラックAG」、MaaSをはじめ新しい乗り物形態を担当する「ダイムラーモビリティAG」をそれぞれ名乗る。

現在、3つの企業体の総従業員は約29万4000人で、そのうちダイムラートラックAGは約10万人(約34%)を占める。

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、現在、ダイムラートラックAGの一員として神奈川県川崎市に本社を構える。前身が1920年に3トン、4トン積み軍用トラックを三菱造船(神戸造船所)で製造したことを皮切りに、1932年に「B46型バス」、1941年に「YB40型2トントラック」を日本市場に送り出す。そして2003年に、三菱ふそうとして三菱自動車から分社化され今に至る。

2010年から電動化に取り組んできた「三菱ふそう」

三菱ふそうでは、2010年9月にBEV(電気自動車)である小型トラック「キャンター E-CELL」を世界的な商用車ショーである「IAA2010」、翌2011年の「東京モーターショー」にそれぞれ出展。2013年6月にはパワートレーンを強化した第2世代のキャンターE-CELL用いてNEXCO中日本との実証実験を開始する。同時にポルトガルやドイツでも実証実験を重ねた。

その後、キャンターE-CELL改め「eCanter」として2016年の「IAA2016」に出展、2017年7月からは川崎工場(神奈川県川崎市)において電動小型トラックeCanter(車両総重量/GVW7.5トンクラス)の量産を行っている。

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