コロナ後の経済はデフレでなくインフレになる

ソシエテ・ジェネラル証券の会田氏に聞く

――金融緩和政策は続いていましたが、それだけでは景気拡大の効果は薄かったと。

会田卓司(あいだ・たくじ)/埼玉県立浦和高校卒、スワースモア大学経済学部・数学部卒、ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士課程単位取得退学(経済学修士)。メリルリンチ日本証券、UBS証券などを経て2013年から現職(撮影:今井康一)

実体経済での資金需要が弱いため、名目GDP(国内総生産)は減少しやすく、デフレで実質金利が下がりにくいために円高にもなりやすかった。フローの実体経済でお金を使う主体が不在なときに、金融緩和だけを実施しても、お金は金融界の中をぐるぐる回り、日本銀行の当座預金に死蔵される資金が増えるだけだ。実際、そのような状況が続いた。

――国際経常収支との関係も論じています。

企業、家計、政府の国内3セクターについて話してきたが、これに海外セクター(経常収支)を加えると、1国におけるすべての経済セクターが出そろう。そして、この4セクターの資金収支を合計すると和は必ずゼロになるというのが、マクロ経済の基本だ。

日本の場合、企業と政府の資金需要が減っていく中で、円高基調もあって経常収支は拡大せず、ほぼ同じ水準を維持してきた。ということは、企業と政府の資金需要が減り実体経済で回るお金が減ったしわ寄せは、ダイレクトに家計に響いた。その分だけ家計の所得が減ったということだ。家計は基本的に生活水準を維持しようとするため、所得減少は家計の貯蓄率の低下という形で現れた。

財政赤字急拡大で資金需要が復活

――そうした長年の構造が、コロナ禍で変わるのでしょうか。

コロナ危機によって起きているのは、政府の財政支出の拡大だ。先ほどの図1で言えば、一般政府収支の黄色線がグンと下に下がり、国内の資金需要が復活するということだ。その結果、家計にお金が回るようになり、消費需要が増えるだろう。日銀が金融緩和政策として積極的にマネタイズ(国債の大規模購入)を行っていることもその効果を高める。

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