「米中対立の深刻化リスク」を軽視していいのか 再選に向けトランプ大統領は追い込まれた?

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いよいよトランプ大統領は中国を本格的に「選挙カード」に利用するのだろうか?(写真:AP/アフロ)

米中関係が、ここへきて急速に悪化してきた。発端は7月22日、アメリカが中国に対して、「在ヒューストン総領事館の閉鎖命令を出した」と報道されたことだった。

「報復合戦」はどこまで続くのか?

新型コロナウイルスのワクチン開発などに関し、アメリカ内における中国の諜報活動の拠点となっていることなどが理由で、24日には施設内から職員が撤退、閉鎖が完了したという。もちろん、中国側も黙ってはおらず、こちらは四川省・成都にある米総領事館の閉鎖を命令。同総領事館はチベットの動向などに関する情報の収集拠点となっており、アメリカ人職員50名以上が勤務していたというから、影響はかなりのものになると思われる。

中国はワシントンDCに大使館、それ以外にも5つの都市に総領事館を設けている。ドナルド・トランプ大統領は「必要ならばヒューストン以外の施設も「いつでも閉鎖できる」とコメントしている。

米当局は24日、サンフランシスコの総領事館に逃げ込んだ中国人の研究者を、スパイであることを隠してビザを取り、不法入国したとの疑いで拘束した。同総領事館は今のところ閉鎖には至っていないが、いろいろと不安な動きが出てきているのは間違いない。

一方でアメリカも北京の大使館のほか、中国本土の5都市と香港に総領事館を構えている。アメリカがさらなる総領事館の閉鎖を迫った場合は、中国もより影響の大きい上海や、香港の領事館閉鎖で対抗する可能性が高いと見られている。

トランプ大統領は新型コロナの感染拡大が深刻化して以降、一貫して「その責任は中国にある」と、同国を非難する態度を取っている。すでに、5月には国交断絶の可能性を検討したことを明らかにしたこともある。そうしたことを考えれば、今回の総領事館の閉鎖命令もサプライズというわけではない。

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