安倍首相、「1カ月半ぶり会見」で狙う反転攻勢 G7、党・内閣人事前に8月原爆忌で記者会見へ

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7月24日、首相官邸で報道陣の取材に応じる安倍晋三首相(写真:時事)

新型コロナ第2波襲来への不安が強まる中、安倍晋三首相が「魔の8月に怯えている」(自民長老)との見方が政界に広がっている。

各方面からの反対論を押し切り、政府はGoToトラベル事業を7月下旬に見切り発車させた。この政府主導の観光旅行奨励がコロナの感染拡大につながったのか、8月上旬に判明するからだ。

仮に全国的な感染再拡大につながったことが裏づけられれば、経済優先で事業の前倒し実施を決断した安倍首相の政治責任は免れず、「政局秋の陣を前に、政権危機が加速する」(閣僚経験者)ことも避けられない。

原爆忌式典で1カ月半ぶりの会見?

野党側は「感染拡大なら総辞職もの」(立憲民主幹部)と、安倍首相を糾弾すべく手ぐすねを引いている。6月に国会が閉幕してから記者会見を行わず、国会での閉会中審査にも出席しない安倍首相に対し、「巣ごもりによる逃げ恥作戦」などと揶揄してきた経緯もあり、安倍首相の明確な説明を求める声が強まるのは間違いない。

そうした中、安倍首相は例年通り、8月6日に広島、同9日に長崎で開催される原爆忌式典への出席が見込まれている。それぞれ現地で会見するのが慣例で、それまでに官邸などでの公式会見がなければ、約1カ月半ぶりの会見となる見通しだ。

8月に入っても感染拡大が続いていれば、お盆期間中のGoToトラベル事業見直しや、感染拡大阻止のための地域指定の緊急事態再宣言の必要性もテーマとなり、安倍首相自身の見解も当然求められる。これまでの会見のように「専門家の判断」などを隠れ蓑にすれば、「トップリーダーとして失格」との批判も免れない。

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