中国「自動運転タクシー」まだ高い商用化の壁

完全無人化と車両コストの引き下げが課題

自動運転スタートアップの小馬智行には日本のトヨタ自動車が出資している。写真は小馬智行のテスト車両(同社の公式SNSより)

「自動運転技術の開発企業の多くが一般市民向けの試験運用を増やしているが、まだ“商品”と呼べる水準にはほど遠い。大きな課題は完全無人化と車両の量産化にある」。小馬智行(ポニー・エーアイ)のCTO(最高技術責任者)を務める楼天城氏は、メディア向けの技術説明会でそう述べた。

小馬智行は広東省広州市に本社を置く自動運転技術のスタートアップ企業。今年2月には日本のトヨタ自動車などから4億6200万ドル(約494億円)の資金調達に成功した。しかし現段階では純粋な研究開発会社であり、利益を生み出すビジネスは持っていない。そんななか、近い将来の商用化が期待されているのが無人運転のタクシーだ。

中国では自動運転技術に関する政府の政策が徐々に整備され、2019年から無人運転タクシーの試験運用プロジェクトが次々に立ち上がっている。だが、現時点では(危険時などに)運転を引き継ぐことができる「安全担当者」の同乗が義務づけられ、乗客から運賃を取ることも認められていない。さらに、試験運用の地理的な範囲も限られているのが実態だ。

百度や滴滴出行も運用試験を開始

小馬智行は100台を超える自動運転車を使い、アメリカのカリフォルニア州など世界各地でテスト走行を繰り返している。中国国内でも2018年12月から広州市南沙区で、従業員や一部の招待客を対象にしたテスト走行をスタートさせた。

インターネット大手の百度(バイドゥ)は今年4月19日、同社の地図アプリと連携した無人運転タクシーの試験運用を湖南省長沙市で開始。配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)も6月27日から、上海市内で無人運転タクシーの一般向け試験運用を始めている。

本記事は「財新」の提供記事です

しかし「これらはまだ本当の意味の競争とは言えない」と、小馬智行の楼氏は指摘する。楼氏に言わせれば、(さらなる研究開発で)安全担当者の同乗が不要な完全無人化を実現するとともに、自動運転車の量産を通じて多数の都市でサービスを運用できるレベルまで車両コストを下げなければ、無人運転タクシーが「テスト段階」を脱することは難しい。

(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は7月20日

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