東大寺別当が語るアフターコロナの宗教の姿

今こそ日本の宗教の多様性が求められている

4月24日、大仏殿前でほかの寺社教会の関係者と「正午の祈り」を呼びかける共同記者会見を開いた(写真:東大寺)
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新型コロナウイルスの感染拡大は日常の外出や県境を越えた移動の自粛など、これまで当たり前のように享受してきた生活の自由が思わぬ形で制限される事態となった。
「奈良の大仏」で有名な華厳宗大本山・東大寺の境内からは外国人観光客のにぎわいが消えた。一方、奈良時代の752年以降、さまざまな苦難の時代でも毎年絶やさず続けてきた「修二会」(お水取り)は今年も無事執り行われた。
また、東大寺は4月に全国の寺社や教会に「正午の祈り」を呼びかけるなど、コロナ禍での宗派・宗教の枠を越えた取り組みが話題になった。
東大寺と日本の仏教の長い歴史からみて、コロナ禍は日本人の意識をどのように変えていくのか。華厳宗管長・東大寺別当の狹川普文氏に話を聞いた。

宗教者同士が「正午の祈り」を実現

――毎年、春の到来を告げる風物詩でもある修二会は今年で1269回目を迎えました。とくに本行が始まった3月1日は新型コロナウイルスへの警戒感が高まりつつあった時期と重なりました。どのような感染防止対策を取ったのですか。

修二会では練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ぶ11人の僧侶をはじめ、約40人が一緒に参籠するが、手洗いと体温などの健康チェック、アルコール消毒を全員に徹底した。例年ならインフルエンザの時期で熱を出す若い者がいるが、今年はだれも熱を出さなかった。消毒を徹底した甲斐があったと思っている。

休憩時にはお堂の扉を開け放って換気をし、参拝者にもマスク着用と手洗いを呼びかけたり、間をあけて座ってもらったりと例年にない対応をとった。心配はしていたが、1人も感染者がなく、無事に終わることができた。

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