個室寝台列車は「密」を防げる最強の交通手段だ コロナ禍を機に長距離移動手段として復活を

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今では唯一の定期寝台夜行列車となった「サンライズ瀬戸・出雲」(写真は「出雲」)。車内は個室中心で人気は高い(写真:tetsuo1338/PIXTA)

冬から続く新型コロナウイルスの感染拡大は、夏も衰えを見せる気配が感じられない。

政府や専門家は、新型コロナウイルスへの感染を予防するためには、密閉・密集・密接の「3密」を避けることが有効であるという。我が国では、4月7日に政府が「緊急事態宣言」を発令し、全国各地を結ぶ夜行高速バスは、「3密」になる危険性が高いこともあって運休が相次ぐようになった。緊急事態宣言が解除された現在も、一部では運行が再開されていない夜行高速バス路線もある。

一方で、現在では唯一の定期寝台夜行列車となった「サンライズ瀬戸・出雲」は緊急事態宣言期間中も運行を続けた。同列車は個室寝台が主体であり、新型コロナウイルス感染の可能性は低いと言える。コロナ禍における個室寝台列車の可能性について考えてみたい。

「密」を避けられる個室

筆者は4月中旬、3月のダイヤ改正でデビューしたばかりの特急「サフィール踊り子」に熱海から品川まで乗車した。

15時過ぎ、熱海駅へ入線する伊豆急下田行きの「踊り子」車内を見ると、グリーン車や普通車指定席の乗客は皆無であり、自由席は各車2~3人程度の乗客しかいなかった。それゆえ全車がグリーン車指定席である「サフィール踊り子」はさらに乗客が少ないのではないかと思ったが、プレミアムグリーン車は定員20人に対して乗客3人であったものの、グリーン個室は半分程度埋まっていた。

まだデビューしたばかりの列車であるうえ、伊豆方面から東京方面への帰路に適した時間帯に運転されるため、もともと需要が見込める要素はあるものの、価格面で割高となる個室グリーン車が健闘していた。

そこで気づいたのが、個室は「3密」を避けられるということである。

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