ミネベアミツミ、「選択と集中」を拒否する事情 多品種・多国籍にこだわるユニーク経営哲学

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極小ベアリング世界最大手のミネベアミツミの売上高は2020年3月期に過去最高を記録した。写真はミネベアミツミの軽井沢工場(編集部撮影)
新型コロナウイルスによって自動車、航空機など世界中の機械需要が急激に落ち込み、機械部品業界の先行きに暗雲が垂れ込めている。特に、あらゆる機械に使われ、「機械産業のコメ」と呼ばれるベアリングメーカーの各社は、自動車販売台数が落ち込み始めた2019年から苦境が続いている。
一方、極小ベアリング世界最大手のミネベアミツミは、2017年に電子部品メーカーのミツミ電機、2019年は自動車部品メーカーのユーシンを相次ぎ買収し、2020年3月期の売上高は過去最高を更新した。
コロナ後のM&A戦略は何か。2009年の社長就任以降、トップダウン経営で同社を総合部品メーカーへ変貌させた貝沼由久会長兼社長に聞いた。

新型コロナは試練ではなかった

――2020年3月期の売上高は9784億円で、1兆円にあと一歩でした。

着実に会社は成長している。売上高1兆円を1つの目標にしてきたが、5月の従業員向け経営戦略説明会では「もう1兆円はいい。(目標との差の)約220億円にこだわるよりは、利益率の向上と営業利益1000億円を目標にしよう」という話をした。

(1兆円目標は)決してハードルが高いとは思っていない。実力があるはずなので、環境が整えばできる。長期的には売上高2.5兆円を目指しているし、その先もある。

――新型コロナの影響はどうだったのですか。

新型コロナは試練だとは思っていない。われわれはこの1年だけで、北海道胆振東部地震やフィリピンの火山噴火、台風、米中貿易摩擦と、ありとあらゆるリスクを経験した。精神的な負担としては2011年にあった旗艦工場のあるタイの洪水のほうが余程大変だった。

あのときはタイに工場がないところは平気だった。われわれは「とにかく早く復旧しなくてはいけない、工場に水を入れちゃいけない」と、もうそればっかり考えていた。その経験を乗り越えたから、コロナは試練ではないと言える。

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