フォション破綻報道に驚いた人が知らない真実 日本に影響は全くなく商品提供も従来通り

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現在のフォションの親会社はGROUPE FAUCHON S.A.。今回ニュースとなったのは、数ある関連会社の1つ、FAUCHON S.A.Sで、まず、親会社の話ではない。

FAUCHON S.A.Sはパリのマドレーヌ広場にある本店を含む路面店・2店舗を経営しており、この2店(「FAUCHON LA MADELEINE」「FAUCHON PARIS, 24-26 PLACE DE LA MADELEINE」)の運営が、新型コロナウイルスの影響などにより立ち行かなくなったため、FAUCHON S.A.Sがパリの商事裁判所に申請し、2店の運営に関する更生手続を行った。

さらにいうと、今回の更生手続きは、FAUCHON S.A.Sの全事業のうち、2店舗の運営に関してのみ。この関連会社自体が倒産したわけでもないという。もちろん、親会社も健在だ。

また、現在フォションは世界中で事業を展開し、パリ、ロンドン、ドバイ、ソウル、東京などにあわせて70店舗以上がある。FAUCHON S.A.Sが運営するマドレーヌの店の売り上げは一部にすぎず、「グループ全体の売り上げの1割」との報道もある。これらが事実なら、「フォション破綻」とはやや大ざっぱと言えないだろうか。そのうえFAUCHON S.A.Sは、2店舗の経営について、着実に再建を図っていくという。

パリのフォション前で(筆者撮影)

デモ、ストにコロナが追い打ちを

それにしても近年、パリの観光地には厳しい風が吹いている。ニュースとなった2店は、パリの中心部、マドレーヌ広場にある。パリ観光の拠点ともいえるオペラ座からも歩けるエリアで、目の前はマドレーヌ寺院。有名ブランドが軒を連ね、普段なら世界中から観光客がひっきりなしに訪れるエリアだ。

ところが、2015年には同時テロ、2019年には「黄色いベスト運動」(抗議運動)や大規模な公共交通機関のストライキが起きた。その都度、痛手を受けてきたうえに、今年は新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。パリの一等地ともいえる観光地にあるからこそのフォション本店の業績悪化は、致し方ないことのようにも思えてくる。

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