優秀な人が去り「ぶら下がり」増える組織の病巣 安易な離職対策で働きがい重視の人材が離職

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離職を防止する目的で「働きがい」より「働きやすさ」を重視しすぎると、組織活性は大きなマイナスに(写真:tkc-taka/PIXTA)
多くの企業がテレワークやフレックス制などを取り入れる中、「ただ出社してデスクにいる」だけで社員を「働いている」と評価することは一層難しくなりました。成果主義による人事評価が進み、これまで見えていなかった一人ひとりの生産性やモチベーションが可視化されはじめた今、組織の「人」にまつわる新たな問題が浮かび上がっています。
MBA・経営コンサルタント・産業医として組織の問題に取り組む上村紀夫氏の著書『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』を一部抜粋し、再構成のうえお届けします。

モチベーションは低いが離職しない「ぶら下がり」社員

あなたの会社に、こんな感じで働いている人はいませんか?

「会社は好きじゃない。でも転職してまでも環境を変えたいわけじゃない」「会社も仕事もどうでもいいけど、人間関係や給与には不満がない」「お金のために8時間を犠牲にしていると思えば我慢、我慢……」

これらは「働きがい」が低下した場合に起きやすくなる問題です。

緊急事態宣言下で、多くの企業がテレワークや在宅勤務、時短勤務、時差出勤などの制度を導入しました。社員個々の業務や成果を可視化・管理するための新しい取り組みも行われています。結果、一人ひとりの業務内容やその必要性が浮き彫りになり、「あれっ、この人、時間対効果が低いな……」「あの人の業務、本当に必要?」といった疑問や不満が上がりつつある、という声も聞かれます。

慢性的な人手不足が続く中、社員の「離職」が重大な問題となっている会社は多くあります。しかし、会社にとっては離職以上に深刻な問題があります。それは、「消極的定着」です。会社に不満はあるけれども転職しない・できない人たち(面倒くさい・ほかに移れるほどの実力がないなど)による消極的定着、いわゆる「ぶら下がり」です。

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