教員が危惧する「大学ニューノーマル」の大問題 5つの論点から探る"コロナ後の大学像"

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現在は原則リモートとなっている大学の授業。教室に再び賑わいが戻ってくるのは、いつになるか(写真:Ushico/PIXTA)

新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数の高止まりが続き、「第2波到来か」とも言われている状況だ。“夜の街”での感染拡大が懸念されており、若者の感染者比率が高いことも指摘されている。

若者は重症化例が少なく、無症状患者も多いがゆえに、感染を広げる可能性が高い。若者の多く集まる場所といえば学校だ。登校などに関しては、かなり厳しく規制されてきた。

こうした状況は大学も同様。今年度の前期(4~9月期)はすべての授業を遠隔授業とし、キャンパスへの入構を原則禁止、あるいは厳しく規制する大学も多い。

ちまたでは「ニューノーマル」という言葉も登場した。これまでにあまり語られてこなかった「大学のニューノーマル」について、大学関係者の一人として探ってみたい。

遠隔授業に潜む落とし穴

① コロナ収束が見通せない場合の授業のあり方

大学の授業は大教室だと200人、300人近くなる場合もある。どこの大学でも昼どきの学食は大混雑だろう。これまでどおりの通学・授業を認めていては3密は防げないし、それを防ぐ対策をしたうえでの授業運営も難しい。

そこで多くの大学は学生の通学を原則禁止し、ネットを使った遠隔授業に切り替えた。前期中はたとえコロナ収束の兆しが見えても、遠隔授業を継続する方針を取っている大学は多い。筆者が勤務する日本女子大学も同様だ。

こうした大学では、コロナ禍以前から、遠隔授業が可能になるようなシステムを導入していた。多くの企業ではZoomやMicrosoft Teamsなどがネット会議で利用されている。大学の授業もこれらで行うことが可能だが、教育においては成績評価が重要であり、これらだけでは十分ではない。

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