コロナ禍で探る「資産運用」で損しないシナリオ 基本は「金」「株」それとも「収益不動産」?

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コロナ時代の変化を見据えて戦略を打つ必要がある(写真:ロイター/Issei Kato)

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、金融マーケットが大暴落を起こしたのは今年2月後半から3月前半にかけてのこと。その後、わずか3カ月足らずで株式相場はほぼ元の水準に戻りつつある。

ナスダックが6月に入って史上最高値を更新したアメリカ株に限らず、世界中でコロナショック後の暴落から8~9割程度、値を戻しているマーケットが多い。背景には、世界中の中央銀行がリーマンショックを上回る規模で資金を市中に放出する金融緩和がある。最近では「コロナバブル」という声もよく聞かれるようになった。

バブルといえば、いずれは崩壊するものと相場は決まっているが、思い出すのは1990年代前半に起きた日本の「不動産バブル崩壊」だ。1985年のプラザ合意によって、日本はそれまでの1ドル=250円前後の為替レートが、一気に120円前後の円高になった。

輸出産業で稼ぐ日本にとって、急激な円高は死活問題といわれ、政府や日銀はこれまで経験したこともない大規模な公共事業や金融緩和を実施した。今回の感染症による経済的なパニックとは異なるが、同様のインパクトが当時の日本政府や日本銀行にはあったようだ。

好調な株式市場、1990年代バブル崩壊の再現か?

その結果として、日本は空前の不動産ブームとなり、株式市場も日経平均株価で4万円まであと1歩というところまで上昇していく。金余り、という言葉が流行したころの話だ。

その後、株価は1990年代に入って暴落し、全国津々浦々の不動産価格も20年から30年かけて下落し続けており、一部ではいまだに下落が止まっていない。日本が経験した忌まわしい「バブル崩壊」の顛末である。

そして現在、感染症による世界的な大流行という非常事態によって、世界中の経済がストップしてしまったわけだが、日本のプラザ合意のときと同様に政府や中央銀行が全力で金融緩和して、景気を刺激するために大盤振る舞いをしている。言い換えれば、今の状況は日本のプラザ合意からのバブル発生状況と似ていると言っていいかもしれない。

問題は日本のようにバブルとなって、やがて崩壊して長期にわたって、国民がそのツケを支払わなければならなくなるか。それとも1930年代の大恐慌時のように、第2次世界大戦が終わるまで景気が回復しないか――。どちらにしても、簡単に、そして短時間では解決されないということだ。「V字回復」「W字回復」それとも「U字回復」といった楽観的な観測も多いが、「L字」のまま回復しないシナリオも想定しておく必要があるだろう。

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