日本が「駐在員の住みたくない国」に堕ちた屈辱

33カ国中32位、国際的な競争力は年々低下傾向

もっとも、カナダ、スペイン、ニュージーランドなど、ワークライフバランスが高い国は、それだけで点数を稼いでいるわけではありません。これらの国の賃金は、最上位でこそありませんが、決して低くはありません。いくら残業時間が少なくても、生活が苦しい状況では、満足度は上がらないという現実を考えると、賃金が高いことは極めて重要なポイントであることがおわかりいただけると思います。

これに加えてランキングが高い国は、教育環境が充実しているという共通項があります。

どんな国の人にとっても子どもは大切であり、いくら高賃金で、ワークライフバランスがよくても、教育環境が悪ければ総合評価は上がりません。こうした状況を踏まえて、日本の個別評価を見てみると、厳しい現実が浮かび上がってきます。

日本のランキングが著しく低いのは、何かが大きく足を引っ張っているのではなく、すべての項目において評価が低いことが原因です。具体的に言うと、賃金については最下位、ワークライフバランスについても最下位、子どもの教育環境についても最下位です。

「賃金」「労働時間」「子育て」全てが低水準

この結果を見る限り、国が違っても、ビジネスパーソンが求めるものにそれほど大きな違いはないことがわかります。今の日本社会でもっとも重要な課題となっているのは、賃金、労働時間、子育ての3つであることは誰もが認める事実だと思います。

日本はすべての項目で評価が低く、全体のランキングも下がっています。これは評価基準の恣意性が云々という話ではなく、日本の国際的なポジションが低下し、暮らしにくい国になっている現実を如実に示した結果といってよいでしょう。

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さらに言えば、この結果は日本の将来を暗示している面もあります。実は、日本よりランクが上位の国の中に、ベトナム(10位)、フィリピン(24位)、インドネシア(31位)といった国々が入っているのです。これらは、日本が外国人労働者の受け入れにあたって、人材供給源として想定しているところです。

安倍政権は2018年、深刻な人手不足に対応するため、外国人労働者の本格的な受け入れを行うと表明し、日本は事実上の移民政策に舵を切りました。日本企業が求めているのは安価に雇える外国人労働者であり、具体的にはベトナム、フィリピン、インドネシアといった国からの来日が想定されています。

日本は、人材供給源として想定している国よりも魅力のない場所となっており、このままでは、外国人労働者すら来てくれなくなるかもしれません。下手をすると、日本は外国人労働者を受け入れるのではなく、外国に出稼ぎに行くことすら求められる可能性も出てきているのです。

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非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

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