米株急落でも日経平均は「踏ん張る」と読む理由 今の投資家の「心理状態」を分析してみよう

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日本株はアメリカ株の値動きに左右されがちだが、7月以降もそうなるのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

今回はまず、経済活動をみるうえで重要な指標の分析から入ってみよう。先週6月23日に発表された6月の米マークイット総合PMIの速報値は、アメリカ46.8、独45.8、仏51.3、ユーロ圏47.5となった。これらは、それぞれ5月の37.0、31.4、32.1、31.9から大きく回復しているだけでなく、市場の予想値をも上回った。

「ダウ大幅下落でも日経平均プラス」は異常?

これに対して、日本は37.9と、5月の27.8から回復はしているがただ1国だけ予想値を下回った。そもそも第一に、37.9という数字が欧米に比べ大きく見劣りする。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が比較的小さいと言われる日本の景気回復は鈍い。このことで、売りを主体にしている投資家は、実は評価損がかさんで苦しくなっていても、買い戻しの決断が出来ず、逆に売り乗せをしたくなる状況だ。

結局、空売りや日経ダブルインバース等の「弱気型ETF(上場投資信託)」あたりから五月雨式に出る売り物で、先物安の形は変わっていない。裁定取引残高は6月2週目の「メジャーSQ」(SQ=特別清算指数)が過ぎたことで、若干は解消した。とはいえ、売り残7億2554万株、買い残1億9281万株(6月24日現在)と、弱気型の異常値が続いている。

しかし、先週のダウは前週比855ドル安だったが、日経平均株価の6月26日の終値は前週比33円高で「日経平均>ダウ」の「異常な形」になっている。もちろん、6月29日以降の日本株の下落には注意が必要であることは言うまでもない。

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