観客収入減のJ3福島が「農業」に見出した活路

昨年はファンクラブを上回る売り上げを記録

「農業部」の活動として、リンゴの摘果作業を行う選手たち(18日、福島県石川町で)

サッカーJ3福島ユナイテッドFCの選手が、野菜や果物を手作りして販売する「農業部」の活動が実を結びつつある。昨年はチケット収入の5割超となる約700万円を売り上げた。27日開幕のリーグ戦は、新型コロナウイルスの影響で「リモートマッチ(無観客試合)」となる。チケット収入による減収が避けられないなか、クラブを支える存在として期待されている。

「どっちが大きくなるかな」「落とすのもったいないな」。福島県石川町のリンゴ畑で18日、「農業部」と書かれたジャージー姿の選手4人が、青く小さな実の摘果作業に汗を流していた。入団5年目で農業部長のFW樋口寛規選手(28)は「みんなの作業ぶりもチェックしている」と鋭い視線を向けた。プレー同様、手抜きは許さない。

チームは2014年にJ3に参入。都市部と比べると、観客動員やスポンサー確保でハンデがあり、新たな収入源の開拓が急務だった。東京電力福島第一原発事故から3年が過ぎ、福島産品が風評にさらされていた時期でもあった。

地道に続けられるものは何か。思いついたのが「ガチンコ農業」だ。GMの竹鼻快さん(43)は、風評払拭ふっしょくにもつながると考えた。発足した農業部には、選手やスタッフなど全約50人が入部。福島市などの農家から果樹や水田の一部を買い取り、収穫や出荷まで一連の作業を習った。

リンゴの木2本で始まった活動は、今や米やブドウ、アスパラガスなど6品目を手がけるようになり、田植え機を扱える部員もいる。午前中にトレーニングをして午後から畑へ。選手らは試合や練習と、農作業を両立させる日々を送る。

収穫した米や果物は、県内の農家が育てた野菜などと一緒にアウェー戦の会場で販売。多くの人に福島産を味わってもらおうと、J1やJ2の試合会場にも出店を広げている。スポンサー収入など収益全体から見れば微々たる金額だが、数十万円だった農業部の年間売り上げは昨年700万円を突破し、約600万円のファンクラブ事業を上回った。

チームは今月、農業部のオンラインショップを開設。早くも約100万円を売り上げた。竹鼻さんは「他チームのサポーターにも購入してもらい、福島産の応援と収入確保につなげてきた。新型コロナの影響は大きいが、今後も農業部を成長させて乗り越えたい」と話している。

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