金融庁の「資産運用高度化室」はポエムに近い? 資産運用業の高度化という問題意識は不適切

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金融庁が資産運用業界について真剣に考えているのはわかる。だが、個人投資家が置かれている状況を改善しようとするなら、間違った方向に行きかねない(写真:CORA/PIXTA)

まだ梅雨明けしないし、どうやら「コロナ明け」もまだのようだ。東京都では「東京アラート」なる五月蠅(うるさ)くて意味の分からないお節介が消えたのだが、その後にむしろ、連日数十人単位の新規感染者が出ている。湿った空気が籠もるマスクの中のようにスッキリしない日々である。

コロナ明けはまだでも、お金の運用の基本は「不変」

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

ブラジルやインドで感染が拡大しているようだし、アメリカも再拡大の気配があり、世界の経済も株価もまだまだ不安定だ。

筆者は「個々に気を付けながら普通に暮らす」くらいがいいと思っているのだが、「普通に」暮らしても、飲食店で椅子が間引きされていることに象徴されるように、経済の「10割復旧」はしばらく無理だ。6月24日にIMF(国際通貨基金)が2020年の日本のGDP成長率予想を−5.8%と発表したが、このくらいで済むと上々というところではなかろうか。

なお、世界の成長率は−4.9%と予想されていて、日本はコロナの死者が少ないにもかかわらず、経済が受ける影響が大きい。株式市場には「景気敏感株」と呼ばれる類の銘柄群があるが、日本経済は性質として「景気敏感国」とでも呼ぶべき状態にあるようだ。相対的に世界の需要減少に弱い国だ。

スッキリしない日常とマーケットだが、個々人にとって日々を楽しむ方法は幾らでもあるので、文句は言わないことにする。

お金の運用については、これまでの原稿でも書いてきたように、「株価などの資産価格には、その時々の市場参加者の情報と解釈が、リスクプレミアム(リスクを補償する追加的リターン)と共に織り込まれているので」、もともとの運用方針が正しければ、市場が大きく変動しても、ほとんど修正の必要は無い。

自分にとって適切なリスク額だけ内外株式のインデックスファンドを持ち、無リスクで安全に持ちたい金額は「個人向け国債変動金利型10年満期」と銀行預金(一人一行1000万円まで。ネット銀行でもOK)で持っていれば概ね良い。

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