中国・新興カフェ粉飾に2回目の「上場廃止通告」 決算報告書提出できず社内調査も遅滞の混乱

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ラッキンは不正会計に関する社内調査の結果をいまだに公表できていない(写真はラッキンのウェブサイトより)

不正会計事件に揺れる中国の新興カフェチェーン、瑞幸咖啡(ラッキン・コーヒー)は6月23日、同社がADS(アメリカ預託株式)を上場するアメリカのナスダックから2回目の上場廃止通告を受けたと発表した。理由は2019年の決算報告書を期限までに提出しなかったためだ。

今回の通告は、ラッキンが5月19日に公表した最初の上場廃止通告に理由を追加する形式になっている。このニュースを受けてラッキンのADSは急落、6月23日の終値は2.79ドル(約298円)と上場時の公募価格の6分の1以下に落ち込んだ(訳注:最初の上場廃止勧告については『中国・新興カフェ、米国で「上場廃止通告」の真因』を参照)。

アメリカ証券取引委員会(SEC)の規定では、アメリカに上場している外国企業は会計年度の終了後4カ月以内に決算報告書を開示しなければならない。SECは3月25日、新型コロナウイルス流行の影響を受けた上場企業に対して報告書の提出延期を認めたが、その場合は投資家に対して理由を公表するとともに、本来の期限から45日以内に関連書類をSECに提出するよう求めていた。

経営陣の解任や辞任が相次ぎ混乱

ラッキンは4月2日に不正会計の事実を自ら公表した後、新型コロナの影響と社内調査を理由にして4月30日が期限の決算報告書の開示を延期した。しかし社内調査の結果はいまだに出ておらず、経営陣の解任や辞任が相次ぐなど混乱が続いている。その結果、SECが認めた猶予期間を超過して2枚目のレッドカードを突きつけられた格好だ。

本記事は「財新」の提供記事です

ただ、ラッキンは最初の上場廃止通告を不服としてナスダックに聴聞会の開催を申し立てており、その結果が出るまでADSの取引は継続される。ナスダックの規定では、聴聞会は申請から30~45日以内に開かれることになっている。ラッキンの聴聞会は遅くとも7月初めまでに開かれるはずだ。

さらに聴聞会の結果が出ても、ラッキンはナスダック運営会社の取締役会に対して不服を申し立てれば上場廃止を引き延ばすことができる。専門家によれば、上場廃止の通告を受けた企業が最終的に上場を廃止されるまで半年から1年かかることも珍しくないという。

(訳注:ラッキンは6月26日に聴聞会の申請を取り下げたと発表。ナスダックはラッキンのADSの取引をアメリカ時間6月29日から停止し、上場廃止の手続きに入る)

(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月23日

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