日本の「交通革命」、欧州のMaaSにはほど遠い コロナ禍でテレワークやマイカー通勤が浸透

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新型コロナを機に都市部ではテレワークが浸透。通勤のあり方も変わろうとしている(筆者撮影)

新型コロナウイルスは、私たちの生活に不可欠だった「移動」そのものを控えなければいけないという難問を突きつけた。しばらくはウィズコロナの生活が続くことになる。

5月25日に国の緊急事態宣言が全面的に解除されたのに続き、6月19日には移動自粛も全面解除となり、国内に限れば自由な往来が可能になった。しかしいくつかの理由から、移動が完全に元に戻ることはないと予想している。

都市部ではテレワークが進んだ

1つは大都市を中心に急速に普及したテレワークだ。東京では大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいる。6月に東京商工会議所が発表した数字によると、東京の中小企業のテレワーク実施率は3月の26%から倍以上増えた67.3%にもなっている。しかも日本生産性本部の5月の調査によれば、テレワークで働いた人の6割近くが、収束後もこの働き方を続けたいという。

緊急事態宣言が終了したことで以前の勤務スタイルに戻す会社もある。しかし一方で、テレワークを前提としてオフィスの縮小や廃止に踏み切った会社も多い。経費節減にもつながるので当然だろう。

例えば、菓子大手のカルビーは本社や営業拠点の社員約800人を対象に、原則在宅勤務などのテレワークとし、フレックス勤務のコアタイムを廃止するといった新しい働き方を7月1日から始めた。結果的に30%前後の出社率を目安とするという。通勤定期代の支給を止め、出社日数に応じた交通費を通勤手当とする。このほか、業務に支障がないと会社が認めれば、単身赴任も解除する。

大都市に対して地方では工場などの職場が多いこともあり、テレワークは進んでいないが、もともと普及が進んでいたマイカー移動が感染予防に有効という意見が多く出ており、事業者側がこれまで以上にマイカー通勤を促す動きもある。

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