天馬の常務が反論「元名誉会長が秩序を乱した」 収納ケース「Fits」の会社で委任状争奪戦

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収納ケース「Fits」で知られる天馬。6月26日に開催される株主総会で、今後の経営体制について審判が下る(編集部撮影)
家庭用収納ケース「Fits」などの販売で知られる、樹脂製造中堅の天馬(東証1部上場)で委任状争奪戦が繰り広げられている。勝つのは会社側か、それとも株主側か。6月26日の株主総会で審判が下る。
株主提案を行ったのは、創業メンバーで4月まで名誉会長だった司治(つかさ・おさむ)氏(86)だ。「天馬のガバナンス向上を考える株主の会」を立ち上げ天馬株式の約24%を掌握、創業家の経営からの離脱と経営陣の総入れ替えを求めている。
一方の会社側は、金田宏常務(42)を社長とし米投資ファンド日本法人幹部を取締役に迎えるなどの経営刷新案を打ち出している。金田常務の父は、司氏の甥で6月末に退任する金田保一会長(75)、祖父は天馬2代目社長を務めた司氏の実兄だ。つまり金田常務は創業家の一員となる。
司氏が株主提案するに至った動機は、5月20日配信の『天馬の名誉会長が激白「役員は総退陣すべきだ」』で報じた。2019年に発覚したベトナム子会社での贈賄事件について、経費処理の工夫で贈賄を正当化しようとした取締役は責任をとるべきと指摘。また事件の背景に、藤野兼人社長によるハラスメントや、上層部に対する社員の忖度があったとして、創業家出身者を含めた経営陣の総入れ替えを主張している。
この司氏の株主提案に会社側は反対を表明している。金田常務にその理由を聞いた。

ガバナンスを再構築する

――株主案と会社案は何がいちばん違うのでしょうか。

今の天馬に必要なのは、ガバナンスを再構築して不祥事の再発防止策をきちんと講じること。そのうえで経営陣が企業価値向上のビジョンを示し、それを組織として実施していくことだ。

会社案では経営の連続性を保つために現経営陣から私を含めた2人が残り、会長や社長など4人が退任する。新任の取締役として公認会計士、弁護士、機関投資家とそれぞれの知見を有する候補者を選び、マネージメントがしっかりできる新たな経営陣を提案した。

一方の株主案は、売上高構成比の高い海外拠点や事業部門の出身者を集めて取締役候補者としているが、マネージメントで必要なのは拠点や部門運営に関する知識だけではない。その点で経営の大前提から間違っていると思う。また、株主案の候補者は元名誉会長の影響下にあると考えざるをえない。

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