47歳で識字障害とわかった僕から見える文字面

最初は受け入れられなかったがラクになった

落語家・柳家花緑さんは自身が発達障害だと知るまでは、できないことや苦手なことは自分の努力不足だと思い込んでいました(写真:GCShutter/iStock)
スピード感あふれる歯切れのよい語り口で、本業のほかテレビや舞台でも活躍中の落語家・柳家花緑さん。2017年、花緑さんは発達障害のひとつ「識字障害」(ディスレクシア)であることを公表しました。
子ども時代から、できないことや苦手なことは自分の努力不足だと思い込んでいた花緑さん。40歳を過ぎて自分が発達障害だと知り、「飛びっぱなしによる疲労でときどき空から落ちていた鳥が、やっと止まり木を得た感覚。本当にラクになりました」と語ります。
自身の経験を軽妙につづった花緑さんの新刊『僕が手にいれた発達障害という止まり木』より、一部を公開します。

こんな妙なことになってしまいます

「僕には識字障害があります」

そう言うと、みなさん、「それはどういうものですか?」と質問します。ところが、これを説明するのは、すごく難しい。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

ひらたく言うと、書かれた文字を見て脳が認識して言葉として理解するのに、すごく時間がかかるんです。ひとつの言葉を認識するのに、3秒くらいかかることもあります。

疲れていたり、ストレスがかかった状態だと、さらに文字の認識が難しくなります。ひらがなやカタカナが並んでいると、魔法の呪文(じゅもん)でも見ているみたいで、文字の順番を取り違えたり読み間違ってしまうこともあります。

最近も、テレビのナレーションの台本に「たしなみ」と書いてあるのを、「たのしみ」と読んでしまいました。ちなみに、番組は「趣味の園芸」。普段の会話なら「たしなみ」が「たのしみ」になってもよさそうなもんですが、ナレーションともなれば、そうはいきません。ディレクターさんに指摘され、やり直しました。

仕事場を間違えたこともありました。もらった資料には「町田」と書いてあったので、小田急線に乗って町田駅まで行って、駅から会場までどう行ったらいいんだろうと資料をもう一度見たら、「町田」じゃなくて「田町」だった。あわてて新宿まで戻り、山手線の田町へ行きました。そのときは、恥ずかしくって間違ったことを誰にも言えませんでした。

書くことも苦手です。大人になってからは、ひらがなに関しては、まぁ問題なく書けるようになりました。でも漢字はいまだに苦手で、漠然とした形はわかるのですが、正確に書くのは大変です。しかも脳が疲労してくると、よく知っているはずの言葉すら書けなくなってしまいます。

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